「やりなおせる、なかったことにできるという誘惑を否定してくれ」という告白にサルアは「それは一線を越えた話だ」と返した。オーフェンは重ねて「メッチェンの負傷もなかったことにできる」と言った……、という話であり、筋としては自然なものだ。なんでだ? と考えるほうが筋の通っていない話にみえるかもしれない。が、それでも「なかったことにしてはいけないということ、他者の誇りを奪ってはならないということ」の話になぜ女の肢体/死体が俎上に載せられねばならなかったのか、その意味はなにか、を考えたいわけでありまして。
「なんでオーフェンさんは自分とサシならサルアは本音を話すと確信してるんですか???」とこの十年頭を悩ませていたんですが、霧が晴れたようだ。あと、わたしは「サルアはああ答えたがために、特にオーフェンの前ではどんどん本音を口に出せなくなっていったんじゃないか」と思っており、それだと余人がいれば云々と矛盾するよなあと気になっていた。こういう理路ならどうだ(どうとは)。