日本学術振興会の科学研究費助成事業の増額について、賛同の署名を行いました。
change.org/p/日本の未来のために-科学研究費助成
(生物科学学会連合事務局の解説サイトはこちらseikaren.org/kakenhi)

【子育て世代へ】必死で働きながら宿題を見てやり、その成果あってせっかくお子さんが希望の国公立大学に合格しても、指導教員が科研費を十分に獲得できないと、運営府交付金だけでは卒業研究で身につけられる知識が限られてしまいます。科研費以外の省庁予算は限られた首都圏の大学に集中する傾向が強く、教育機会の地域格差が生まれています。また、科研費にはパソコンやソフトウェアなどの汎用性の高い物を買えるというすぐれた特徴があります。(逆に言うとそのほかの研究費では、文房具やOA機器が買えないので、解析機器はあっても論文が書けないという笑えない状況が起こる)
【文系の方へ】科研費の「科学」は自然科学だけではありません。科研費の出版助成によって世に出た人文研究などの成果が、マニアックな歴史ドラマや設定の濃い頭脳バトル小説にもきっと生かされています。

(おまけ)省庁予算はえらいひとがえらいちからの誇示のために振るう道具でもあるので、失敗しても失敗したことにはされづらいこともあったりなかったり、8月に使えるようになったら年末に成果をだせと迫られたり、3年の予定が2年で中止になったり等、わりとさんざんです。毒まんじゅうです。いやとれるだけ超偉いんだけどな、なんでも。

ついでのついでに言うと私などのような業績ではなかなか科研費は取れません。どちらかというと通してくれないあいつらにわたくしはうらみがあるので応援署名をすること自体めずらしいこととおもってくださ(せつなくなってきたのでやめる)

Q 見込みのある研究なら、企業に売り込んで共同研究にしては?

A 既に多くの諸先輩方が取り組まれていますが、組む相手や課題によって学会発表や論文発表を承諾してもらえない場合、そこで働いている若い研究者の将来に関わることがしばしばあります。

後進の育成、新たなアイデアの試行には、何にでも使える真水のようなお金が必要です。

Q 助成金がなければできない研究は、社会に必要なのですか? かわいそうな研究者って言っても食えてるし高学歴者じゃないですか。

A 科研費は将来の公共への投資であって、福祉ではありません。ラジカルなことを言うと、まだ存在しないものには誰も必要性を感じていません。

少し古いし、環境研究に関する考え方が楽観的すぎるような気もする本ですが、国家が基礎研究を育成する役割について語られているのが科学技術立国アメリカのこの本です。

マリアナ・マッツカート「企業家としての国家」

yakuji-shop.jp/SHOP/9784840813

とある有名研究者がベンチャー企業投資家の集まる席で、アメリカの科学力にもっとも貢献しているのが企業で国はそれに劣る、と言われたときの返答が引用されています。面白いから暇な人は読んでみてください。なお本を読んでも研究の役にも仕事の役にも立たないことは私で保証済みです。ただまあ、グッと来ますよ。

「シリコンバレーがまだそう呼ばれていなかったとき、あなたがた投資家はどこにいたのですか?」

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マッツカートのお父さんは常温核融合の研究者だったさうで、おお……、そうスカ、というところも含めて名著。

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