マジョリティが満員電車や行列に悩まされているということは、マイノリティは空いてて快適、ということを意味しない。マイノリティには、並びさえすればアクセスできるというわかりやすさや確かさ自体がないのだから。
そのくらい少し考えればわかることではあるのだが、ほとんど進まない行列にじりじり並んでいると、この「並ばされていること」がなによりも不当で不遇なことなのだという気持ちになってくるのもわからなくはない。
自分が感じている不満を世界でいちばんの問題だと感じてしまうのはある程度人間の愛嬌ではある。でも、自分とは重ならない困難をもつ他人を、自分は持っていない困難のことを考慮に入れずに「自分がしているような苦労をしていなくてずるい」と感じるのはだいぶちがう。