常世は幽霊が幸せに生きる場であり、それは主も例外ではなかった。が、それもまた浄土には受け入れられなかった。大事な人を殺してしまった、という罪悪感がまとわり付く。幸せな地である常世にはいられない。
そうして現世に来たものの、そうしたところで何もできることはない。あの人が亡くなったことは変わらない事実で、償う手段は何もない。罰も恨み言を言われるのも望めなかった。できることは何もなかった。
幽霊の身では命を絶てなかった。そこでようやく、もうどうしようもないことに気が付いた。その頃には体も言うことを聞かず、思うように動かせなかった。
そんな状態の彼を拾ったのが白光だった。
メンタルがどん底になった彼をどうにかこうにか連れて帰り、世話をし、回復してきたらお手伝いと称して一緒にお使いに行ったり。そんな生活を数十年送ったおかげで動けるまでには回復してきた……が、限界感が否めないのである。