ここが言いたいことなわけですね。ここで列挙されているものを分解してみると
(1)自然や生命への畏敬の念、謙虚さ
(2)季節の移ろいの感動
(3)先祖や家族への想い
(4)日本人としての誇りやアイデンティティーの再確認の機会
(1)(2)は自然に対する感じ方だが、そこから(3)「先祖や家族への想い」に繋ぐのには大きな飛躍がある。親切に意を汲んでやるとしても、自然と対になるところの人間社会、その人間社会が自然に働きかけてきた歴史的変遷というモメントがぶっとんで、それが一挙に「先祖や家族」というより血脈を意識させるものへと実在化されるわけですね。
この展開は、第五期国定修身教科書「ヨイコドモ」下(昭和16年)の項目「日本ノ国」の時代から変わってねえ……
本日の朝日新聞より、「成人の日」サントリー広告の伊集院静のエッセイ。
文中に――
この国はアジアの中で、いや世界の中で、美しい水に満ち、美味しい水にあふれ、素晴らしい自然に恵まれている。その国の上を平然と兵器が飛ぶことを許してはいけないのだ。断じて許さない。そういう大人になろう。誇りを捨てるな。
今までの大人のやり方ではダメなんだ。さあ立ち上がろう。新しい日本人になるために。
――とあり、彼の傾向からして例のミサイルのことを指して「その国の上を平然と兵器が飛ぶことを許してはいけないのだ。断じて許さない。そういう大人になろう」「さあ立ち上がろう。新しい日本人になるために」と焚きつけていると思われる。
けれどもナショナリスト視点であるがゆえに日米安保「断じて許さない」にも読めてしまうという、なんとも不可解な一文になっている。
もちろんこうした有意義なレポートは承知していますが、やっぱ自分でたしかめてみたくなるじゃないですか。https://www.duskin.co.jp/rd/laboratory/feature/dust/01/
編集業。하야카와 타다노리 。『神国日本のトンデモ決戦生活』(合同出版→ちくま文庫)『原発ユートピア日本』(合同出版)『「愛国」の技法』(青弓社)『憎悪の広告』(共著、合同出版)『「日本スゴイ」のディストピア』(青弓社→朝日新聞出版)あり。 真理が我らを自由にする&労働が我らを自由にする。