右肩下がりでどん詰まりに向かい続けている書店現場にいまだなおい続けているのだから、その者らの多くは思いやりとか道徳とかの類に関しては平均以上どころか優の評価をもらえるような者なのだろう。自己犠牲の塊で、他者のために生きることができる者らだ。しかしだからこそ、かれらは自己責任論にがんじがらめにされているとも言える。政治や社会のせいにすることはできない。そんなことは自分が許してくれないのだろう。みんなは文句を言わずにがんばっているのに、自分だけ楽をするわけにはいかない。本気でそのようなことを思っている者らに、どのようにして声をかければいいのか、私にはもうわからない。いや、ずっとわからないままでいる。
Twitterを筆頭としたWEB空間で「書店が厳しいのは政治のせいだ、社会状況が悪いからだ」ということを言えば、すぐさま自己責任論者がやってきて「他人のせいにするなよ」と言われてしまう。そのような様子を見れば、思いやりと道徳心でなんとか生き抜いている心優しき書店員たちは、自己責任論者の言説のほうに納得してしまう。どれだけこちらが理論を説いたところで、かれらは自己責任論者の振りまく恐怖に怯えてしまう。それは仕方のないことで、それを弱さと断じて切り捨てることはすべきではない。