「山口判事だって敗戦後の配給制度や食管法の不合理性は十分にわかっていた。彼が立法者だったら即座に法や制度の改正をしていただろう。しかし、彼は司法の人間だった。然るべき立法過程を経て成立した法律に個人的に不満があっても、それを人々に適用しなければならないし、それならば裁く自分も国民の一人としてそれに服しなければならない。彼は身をもって司法と立法それぞれの責任の重さを示してくれたといえる。
彼の裁判官としての清廉さ、プライドと一貫性には深い尊敬の念を表する。しかし、立法府が機能していない場合には、裁判官が状況に応じて法解釈を変えることや事実上の新たな立法ができる余地があるという考え方もあると彼が知っていたらなぁ、とも思う。」
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