始めてDomino使って曲を耳コピしたとき、メロディを完璧に打ち込んだのに音の厚さが全然足りなくて、原曲と私の打ち込みって何が違うんだ!?と困惑し、そこから音楽は複数の楽器(トラック)から成立していることを理解までかなり時間がかかった。

これも小さい頃とかではなくて中学生の時のエピソードなのでそこからよく頑張ったとも思う。
実際、ボカロみたいな音圧高めのジャンルはオケのトラックの聞き分けも難しく(そもそもイヤホンもタダ同然のものを使っていたのも相まって)、本当にメロディとドラム以外の要素を認識できていなかった。(当時の最大限のアイデアは同じメロディを違う楽器でユニゾンさせて厚みを出すことだった。)

その後、おそらくニコ動のコメントかTwitterのTLか何かで「小室進行」を知り、それによって自分の中にコード進行という概念が生まれた。
(最初は小室進行しか知らなかったのですべてのメロディに(曲に厚みを出す道具として)小室進行を乗せていた。その後小室進行以外にもコード進行という上位概念があることを知る。)

小室進行を知ったのはおそらくRED ZONEの音MAD由来な気がするな……RED ZONEのMADはフォーマットとして、音素材でベースとメロディを打ち込み、映像の左でベースライン、右でメロディを左右反転させながら鳴らす(鳴ってる風に表現する)、というルールがあり、そこでベースラインというものの存在を知ったような気がする。音数が多いと理解不能だったけど音MAD上で2音だけ鳴らされたことで初めて理解できたという。

フォロー

音楽に興味が無いのにDTMを始めたのはニコニコメドレーが作りたかったからで、流れていた曲が気づいたら別の曲になっている、という体験を作りたいというモチベーションだけで打ち込みを始めた。
2012年からはインターネットからMIDIを探してコードをパクるという技を覚え、トラックの使い方もニコニコメドレー作者のMIDIを見て学んだ部分が大きい。(私が自分の曲のMIDIを公開してるのはこの原体験が大きい。深い感謝……)
nico.ms/sm21115775

コード進行をコード進行という抽象概念としてちゃんと理解するのはここからさらに数年(3年以上)かかるのだけれど、それ以前から「同じ雰囲気をまとった曲」「同時に鳴らすとうまく重なる曲」という形でいろんな曲がグルーピングされていた。そのグルーピングの実践が↓とかだけれど、この2年後くらいにこのグループが数字で分類できることを知って感動した記憶がある。(この曲って全部456だったのかよ!という)
nico.ms/sm26779548?ref=other_c

曲がシームレスに変化することの手品っぽさにはずっと惹かれていて、その手品っぽさの実践は最近の出演と地続きになっている(私の出演はDJとかライブというより演劇に近いと思っていて、1本のMP4の中に自分が立って何かを操作していると思い込ませることで体験を作る仕事をしている感がある。その意味で今のほうが手品っぽい。mp4を流していることは公言している)。
youtube.com/watch?si=lUzD5ox2g

私がミックスとかサウンドに興味を持つのがめちゃくちゃ遅れた(現在進行系で遅れている)理由のひとつは間違いなくDominoとREAPERにあって、そもそもDominoで打ち込みをやっていた時代はVSTはおろかEQもコンプも当然なく(シーケンサーでしか無いので当たり前)、作曲の楽譜的な部分と限られた128の音色選びだけが音楽の全てだった。

私が打ち込み技術を身につけるうえで最も参考にした(というか、DTM初期に打ち込み能力が飛躍的に向上するきっかけになった)のが絢瀬みどりさんによるメドレー「ドキドキ☆すぷらっしゅR」のMIDIで、このMIDIは当時の私にとって衝撃だった。
それまでの私の打ち込みはメロディ(リード)+ベース(オクターブベース)+コード(ピアノとか)+ドラムというシンプルな世界観で出来上がっていたのに対して、このメドレーは装飾的なフレーズがオリジナルで入っていたり、オクターブ跳躍ではないメロディアスなベースを打ち込まれていたりととにかくバリエーションに富んだ手札が切られていて、この一本のメドレーのMIDIからあまりにもたくさんの要素を吸収した記憶がある(ストリングスはオクターブを散らして配置するみたいな編曲技術とかもここから学んだ)。
nicovideo.jp/watch/sm16151917

最初期はTimidity++というMIDIを演奏するソフトウェアとDominoを連携して打ち込みをやっていて、MSGSよりマシなもののほぼPure MIDIと言える軽い音しか鳴らない状態で打ち込みをやっていた。(そういえばこのTimidityの音源はリバーブもディレイもEQも使えない中で唯一レゾナンスのかかったフィルターだけ使うことができて、この縛りも私の打ち込みのクセに影響を与えている用に思える。)
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この時期までは「音を楽しむ」みたいな価値観は無くてせいぜい「欲しい音に最も近い音を128種類の中から選ぶ」という状態で、そこから2013年の夏にPorteus VXというフリー音源を導入したことで始めて「音色を楽しむ」みたいな価値観が自分の中に生まれた。音色数は1024種類でエフェクトも豊富で一気に打ち込みが楽しくなった記憶がある。こう見ると一年での変化の幅がすごい。
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この時点でもまだDominoで打ち込んでるので音量バランス以外のミックス概念は無い。

@frog96 俺もずっとReasonでやっていて、VSTはおろかオーディオファイルの読み込みという概念もなく、ほぼその感じで4~5年やっていたのであまりにわかりみが深い

@kikuo マジですか!?Reasonもそういう感じなんですね……今覚えば案外それくらいの縛りのほうがやることが明確でよかったなと振り返ると思えたりもします。(そういえば、音楽理論オタクは音がしょぼい人が多い、みたいなツイートを昔見たことがあるんですが今思えばサウンドを縛っているからこそコードとかが先鋭化していくという機序なのかもとも思ったり)

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