アンドリュー・ヘイ『異人たち』見た。

「また悲劇的な結末か」という意見があってもまったく分からなくないが、時代を経ても今なおクィアの精神疾患/障碍率が高いこと、多くのクィアが生まれた家族から肯定されることなく、死と隣り合わせで生きていることも厳然たる事実であるのがつらいところ。

本作のラスト、アダムがハリーを「見つける」下りは、現実に誰にも知られず生涯を閉じていくであろう、今現在のクィアたちに対する、これまでの時代を生き抜いてきたクィアたちからの抱擁として、わたしは胸に沁みるところがあった。
希死念慮を抱き、一人家で「孤独死」してもおかしくない自分もまた抱きしめられたような気がして。

ちょっと不満だったのは、本作に限らず劇中歌の翻訳はちゃんとしてほしいという部分。
台詞ではなく情景や小道具などで語る作品だと思うので、訳すべきだと思った
youtube.com/watch?si=brcAJ6Dkc

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『エルピス』を挫折したので、信頼できる人たちが軒並み絶賛している『リプリー』を見始めた。
『異人たち』のアンドリュー・スコット主演。何度もリメイクされてるとのことだが一度も見たことない。

スロースターターらしいのでとりあえず3話まで
netflix.com/title/81678765?s=a [参照]

ちょっと待って『太陽にいっぱい』=『リプリー』だったの!?
なんかやけに似てるよなー……って思いつつも知らなかった。アラン・ドロンのやつなら見たわ。

『太陽がいっぱい』はホモセクシュアルって前から言われてたと思うけど、個人的にはあんま昔見たときピンとこなかった……。
でも今回のネトフリの『リプリー』は結構クィアみあるかも。アンドリュー・スコットによる説得力?

ディッキーが「俺はクィアじゃない」って言ってるけど、1961年だったら「ゲイ」なのでは?
もともと侮蔑的に「変態」という意味で言われてた方の「クィア」かな?

『リプリー』見てると、殺人って体力気力思考力大胆さぜんぶ必要なんだ……ここまで苦労するくらいなら豊かな生活諦めたほうが遥かにマシでは……って思えてくる。
ていうかバイオレンスさもあるサスペンス(犯人視点)だけど、猫ちゃんが思わぬ活躍(?)しててたまらない。
猫ちゃんは傷つかないし直接的に犯罪に関わるわけじゃけど掻き回し方がいい

『リプリー』見終わったうわーーーおもしろかった!!!
最後3話ここまでのめり込んだの久しぶりかも!? クライマックスまで二転三転四転する脚本と、カラヴァッジョをモチーフにした美術や演出がすばらしい。

基本リプリーという詐欺師の話なんだけど、リプリーという人間についての「真実」がびみょーーーに混ぜてあるのがいいし、その真実の中には彼のクィア性も潜んでいるというさじ加減が絶妙。
知らなかったけどカラヴァッジョもゲイだった説があるそうで。

一歩間違えばただ作品を引き立てるためのクィア・ベイティングになってしまいそうなところ、アンドリュー・スコット自身がオープンリーゲイであること、また作中でゲイ男性を演じているノンバイナリーのエリオット・サムナーなどが、バランスをうまくとっていると思った。
エリオット・サムナーもめちゃくちゃかっこよくてよかった……。

確かにスロースターターだけど、これは諦めずに見てもいい作品

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