アンドリュー・ヘイ『異人たち』見た。
「また悲劇的な結末か」という意見があってもまったく分からなくないが、時代を経ても今なおクィアの精神疾患/障碍率が高いこと、多くのクィアが生まれた家族から肯定されることなく、死と隣り合わせで生きていることも厳然たる事実であるのがつらいところ。
本作のラスト、アダムがハリーを「見つける」下りは、現実に誰にも知られず生涯を閉じていくであろう、今現在のクィアたちに対する、これまでの時代を生き抜いてきたクィアたちからの抱擁として、わたしは胸に沁みるところがあった。
希死念慮を抱き、一人家で「孤独死」してもおかしくない自分もまた抱きしめられたような気がして。
ちょっと不満だったのは、本作に限らず劇中歌の翻訳はちゃんとしてほしいという部分。
台詞ではなく情景や小道具などで語る作品だと思うので、訳すべきだと思った
https://www.youtube.com/watch?si=brcAJ6DkcrQ2mve9&v=bM-DfKTOu_c&feature=youtu.be
近年見た中で、悲劇的な結末でないゲイ映画を思い出してみた。
恋愛して結婚して幸せになるシスヘテロのロマンスなら、これまで数え切れないほどつくられてきたということを思うと、やはり少ないは少ないんよね。
自分が見た中では『泣いたり笑ったり』が近年ではとてもよかった。
父親(イタリアのイケおじ)同士が再婚することになって驚天動地!というラブコメで、真面目な部分もありつつも笑えてハッピーになれる。
『青いカフタンの仕立て屋』は破局エンドじゃないけど、ハッピーかというとどうだろう
https://www.youtube.com/watch?si=MFTnn8eo7X_r4aJu&v=GgPz7dJFAZY&feature=youtu.be
『異人たち』アダムが両親に、「今まで生きてきたことでプライドなんてない」と語るシーンがよかった。
ここ、ゲイプライドやクィアプライドという意味も含まれてると日本語訳でちゃんと伝わってたかな?
キラキラしてたり、恋人や家族や子どもがいたり、「クィアなのに」仕事で成功してたり、TRPで「ハッピープライド!」と言えるものが何一つなくても、ただ生き延びたことを誇って(プライド)いいんだという。
そして仮に生き延びることができなかった人も、自分たちは抱擁するのだという意思が感じられて、切実な映画だと思ったな