「黄泉比良坂が”ヨミ(黄泉)のヒラ(崖)サカ(境)”であることは疑いようがないと思われる」とする架空の文献の引用があり、「平」とも用字されるヒラが「崖」を意味する可能性はあるのだろうかと疑問に思ったのだが、『民俗地名語彙事典』(ちくま学芸文庫)を引いたら解決した。

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「アイヌ語でヒラはピラ(pira)で崖の意であるから、ヒラの語源はアイヌ語とする見解もあるが…むしろ日本語がアイヌ語に移入されたとみる方が自然である」とあるので、知里真志保『地名アイヌ語小辞典』(北海道出版企画センター)を引いてみたら、「朝鮮語のピラ(崖)と関係があるかも」とあるな。

角川大字源で「崖」の古訓を引いたが、「ヒラ」の訓みは載ってなかった。

『民俗地名語彙辞典』は文庫化されるにあたって4割が削除されたということを思い出し、手元にあった単行本版を確認したら、やはり「ヒラ」の項目にも削除箇所があった。沖縄本島では急坂を「サクフィラ」といい、首里城近辺にヒラがつく坂道があるという。

それで記憶が甦って(黄泉帰って)きたのだが、数年前今は亡きワンコの金之助を連れて沖縄旅行に行き、首里城近くの"首里金城の大アカギ"を見にいった時に通ったあの急坂ももしや「ヒラ」なのではと思ったら、まさに「金城坂 (かなぐしくびら)」という名だった! sakagakkai.org/profile/Okinawa

ヒラだらけだ。/ 沖縄県の坂リスト(坂学会ウェブサイト) t.co/v9OYa5Tp2B

「韓国の15世紀の語にピレ(pire、崖)またはピロゥ(pirə、崖)がある。現代韓国語ではピョラン(pyoraŋ、崖)である。日本語のヒラ(hira、崖)の原形の語根であるピル(pir)と、韓国語での「崖」の意の語根ピル(pil)とは、同根語であることは確かである」と徐廷範『韓国語で読み解く古事記』にあるらしい。

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