エイミー・ボナフォンズ「馬」(武居ちひろ訳) 語り手の女性わたしとセリーナは博士課程時代からの友。約40歳でパートナーなし。2人は互いに注射を打ち合う。セリーナはひとりで妊娠し母になるため、語り手は女性を馬化する薬(!)を接種して人間ではなくなるために。
かつて『VOSTOK』誌で藤井光氏が翻訳紹介したボナフォンズの、奇妙だが共感できる切実さを帯びた短編。主人公はバイ或いはパンセクシュアルです。セリーナとの恋ではなさそうな強い結びつきも、異なりすぎて二人で一緒にいられない哀しさもとても印象的です。
2作とも野生の強い生き物(モンスター)が不自由な人間社会とは対照的で、実に好みでした。
本書は通販の予定があるそうです。
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