「お父さんは心配なんだよ」(変な生き物オドラデクを紹介する例の話、多和田葉子訳)や「雑種」(竹峰義和訳)“私は一匹の奇妙な動物を飼っている。なかば小猫で、なかば小羊なのである。父が所有していたものの相続品なのだが(略)”みたいな、短めで動物が出てくる話が好きです。
「巣穴」(由比俊行訳)という、穴にいる生き物がひたすら穴世界や外的の気配を一人称で綴る短編も好きだし、人外の視点を描く小説としていい手本のように思いました。
多和田葉子の解説も、生き物やセクシャルさにばっちり言及しており、かゆいところに手が届いています。
“ちなみにこの雑種の生き物は、オドラデクと同じで、「カフカ可愛らしいものリスト」に載せることもできるし、歌姫ヨゼフィーネといっしょに「カフカ動物リスト」に載せることもできる。カフカの場合は、動物がみんな可愛いとは限らないし、可愛いものが動物であるとは限らない。”
会内でゲーテ→バルザック→トルストイの山を越えられないのでは説が有力になり、マスターピース読書会は1巻目で路線変更しそうです。そんな……!