ミステリではなく犯罪小説・警察小説に焦点を当てた本であること、体系的に潮流を論じた本ではないことも注記しました。やや辛口で恐縮ですが、章によって客観性やトピックの掘り下げにムラはあります。また、女性であればこうだろうという著者の主張にもやや反発と危うさを感じました。
とはいえゼロかイチかで取捨選択すべきでもないと思いますし、英国での近年の動きーープロ作家団体の新設や、賛否両論を巻き起こした“女性が暴力を受けていないスリラー小説専門の賞”の創設は初耳で興味深かったです。著者は1938年生まれの英国人女性。
さらなる注意:なお本書ではJ・K・ローリングが複数回言及され、業績を評価されているのでご注意ください。巻末で、日本語版担当編集者はトランス差別に反対する態度を明確にしてくださっていますが。
実際の女性の犯罪被害件数もたびたび記載されているので、元気がない方や怖いことを思い出しそうな方もご注意ください。