ヒューゴー賞ショートストーリー部門候補続き。
鲁般《白色悬崖》“The White Cliff”では、白く巨大な崖のある美しい土地で生きる男が、現実には末期ガンでかろうじて生命維持されており、終末期ケアや家族との最後のコミュニケーションのためにこの仮想世界にいることを知るという筋書き。
感想:叙情的で雰囲気はいいのですが、かなりテンポがゆっくりで、意外な展開などはありません。評判のいい作家なので他の作品も読んでみます。
王侃瑜《火星上的祝融》では、人類が去った後の火星に残されたロボット祝融(火の神の名前)が、埋もれていた探査車・共工(水の神の名前)を発掘し、火星の先住生命の秘密を知り、否応なく共工と戦うことに。二者の戦いの痕跡は、1万年後の遠未来に火星の生命の文明の神話伝承に残るのでした。
感想:人間が一切でてこない、非人間知性体があまり擬人化もされない短編です。サイバーパンクっぽかったり壮大だったりするバトル描写もいい感じです。もう少し短くてもいい気がします。王侃瑜さんの最近の作品は、スケールや状況のエスカレーションが大きくて私の好みです。
#鹿の原文読書
任青《还魂》は中国語原文がリンク先でまるごと読めます。機械翻訳でもそこそこ読めるタイプの語彙と文体だと思う。
https://mp.weixin.qq.com/s/gCwZYxe3iVKBkU7UsOHe6Q
英訳はGalaxy Awards 1: Chinese Science Fiction Anthologyに収録されています。原文も併録されています。Kindle版は670円くらい。
https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B0BR5Y8Q5Z/ref=tmm_kin_swatch_0?ie=UTF8&qid=&sr=