しかしFLICOのキーボード(静音赤軸)めっちゃいいな〜ほんとにこれのおかげでキーボード打つことそれ自体が楽しくなったので感謝以外の気持ちが一ミリもないレベルで買ってよかった
顕現したてぽやっぽやのシールムネ、とりあえず見学ねと連れて行かれた演練場で迷子になったところを助けてくれた清光くんに一目ぼれしたけどよその本丸の子だしもう会えないかな…と思ってたらその後も出かけるとすごい偶然で何度も出くわすように
うちの本丸の清光くんもすごくかっこいいんだけどいつもそっけないし忙しそうだし、よそ本丸の清光くんはうちの本丸のと全然違う…だいすき…会うたびに好きになっちゃってもうこの胸のときめきは誰にも止められない!でもあの子のこと何も知らない!ってモダモダしてるとなんと本丸のあんまり優しくない清光に「あんたが好き」と告白されてしまう
もちろんビビッてお断りして、そうだ僕も勇気を出さなきゃ!ってあのよそ本丸の清光くんに告白する決心をした則宗だったが…
凄腕ボディガード清光くんとセキュリティ会社経営者の則宗くんのおはなし
仕留めたと思った。
確信だった。獲物を振り下ろす瞬間、予感のように脳裏に相手の首が転がる光景が浮かんだ。
その光景はいわば福音で、これまでにそれを見て実現されなかったことは一度もなかった。
だが、男の首は落ちなかった。
走らせた刃は、なにげなく持ち上げられたとしか思えない笄に食い込み役目を果たし損ねていた。
拮抗する力のせいで両者の筋肉が小さく震えている。
完璧だったはずだ。張り巡らされたセキュリティをかいくぐって標的の寝室に忍び込み、眠る男の首を一刀のもと斬り落とす。極めてシンプルで、それでいて難易度の高い任務ではあったが、下準備は万全だったし実行にあたってのトラブルも懸念もすべて排除してここまで来たのだ。
だが、
「いい太刀筋だ、坊主」
笄一本で刀を止めてみせた男は、臥床の上でそう言って笑った。
その瞬間、恋に落ちた。
加州清光の、それが初恋だった。
則宗は放心して床に転がっていた
ベッドに転がればよかったのかもしれないが今は床の冷たさがありがたかった
知り合ってしまった、kiyoこと清光と
まさか実在していたとは、というのが正直な気持ちだった
そりゃまあ確かにかれの動画に写っていた指はとても細くて美しかったし、声はちょっと物憂げにも響く甘い低さだったし、かれが紡ぐ言葉はどれもとても優しかった
でも則宗はそれらをなんとなく、誰かが作り上げた美しい飴細工みたいなものだと思っていた
そんな愛らしい人はどこにもいなくて、ただ日々を過ごす合間に綺麗な夢を見せてくれる人がいるだけだと
でも違った
清光は美しい黒髪で、爪をあの動画と同じ赤に染めていて、あの動画と同じ静かなトーンで喋る生身の青年だった
そんなかれが自分をどう思ったのか、どうして連絡先の交換を申し出てくれたのか、則宗にはまるで想像ができなかった
ひとつだけわかったのは、自分が、あの動画の青年だからというからではなく清光に恋をしてしまったらしい、ということだった
声をかけたのは単なる興味本位で、清光はそれ以上踏み込むつもりはなかった
確かに天ぷらさんがどんな人なのかは知りたかったが、それはたとえば覆面作家の顔が気になるのと同じ種類の好奇心でしかなく、個人的な関係を持ちたいという思いは一切なかった
なかったのだが、気がつくと清光は自分からかれに連絡先を尋ね、住まいが意外にも近いということまで聞き出してしまっていた
帰宅後清光は可愛い黒猫のスタンプと丸々としたうさぎのスタンプがひとつずつ並んだSNSの画面を見返した
「よろしくね」という文字が跳ねる清光のスタンプに則宗が返したのは、「すまんな」という文字が入ったスタンプだった
謎チョイスに清光は笑い、それからなんだか切なく胸が疼くのを感じて戸惑った
なんだろう、この気持ち
一日。
たった一日だけ、自由をもらった。
どうしていいかわからなくて、でもどうしたいかはもう決まってて、
僕らは手に手を取って街へ繰り出した。
あの子がいつも眺めていたショーウィンドウ、
真っ白なホルターネックのワンピース。
いつもなら絶対に許されないそれを、僕は彼にプレゼントした。
その場で着替えて、裾をつまんで、嬉しそうにくるくると回るあの子が、
誰より眩しかった。
腕を差し出すと、彼はためらいがちに手を添えた…頬を真っ赤に染めながら。
恋人みたい。
小さなつぶやきが、今も消えない。
コットンクラブ結果まだ来てないですよね!?
連休明けくらいに来る感じかな
そわそわしてしまう
「ずっと来たかったお店
スコーンすごく美味しそう!食べてからにしようかと思ったけどできたてスコーンの湯気を残しておきたくて」
という短いキャプションをつけたのは、見る人にリアルタイムだと気づいてもらえる可能性を上げたかったからだ
ほどなくその投稿にいいねの赤いハートがついた
天ぷらさんだ
隣に座った男は無反応だった
やっぱり違ったのかな、と思った瞬間バターナイフが皿にがちゃんとぶつかる音が隣からした
顔を上げると目が合う
男は手にしたスマホと清光の前に置かれたスコーンとティーポットを見比べてから何か言おうと口を開き、また閉じてごくんと唾を飲み、それからスマホの画面を指で叩き始めた
清光の投稿にコメントがつく
「もしかして、今」
相変わらず短い
清光は小さく笑ってから、戦々恐々としか言いようのない顔で自分を見つめる隣の席の男にこくりと頷いて見せた
「天ぷら最高、の人だよね?」
「は、いや、そ、そ、そうだす」
「あは、そんな緊張しないでよ。えーと、はじめましてでいいんだよね、kiyoです」
男は頷いてから口ごもった
自分が名乗るところだが名乗るべき名前がないのに気づいたのだろう
彼のアカウント名は「aaa」だった
ある休日、清光は前から行ってみたかった紅茶の専門店に出かけた
スコーンと一緒に紅茶を楽しめる小さな店だ
紅茶にもスコーンにも特別な思い入れはなかったけど、店の内装がちょっとゴシックな雰囲気だったので一度行ってみたいと思っていたところだった
狭い店内は二人がけの小さなテーブルがいくつかとカウンターだけで、流れているピアノ曲とあいまって静謐な空気に満たされていた
よく晴れた日だからだろう、窓際のカウンターに案内された清光は隣に座っている男が運ばれてきたスコーンと紅茶をスマホで撮影しているのを横目に見ながら注文を済ませた
いかにも不慣れというか、「映える」写真を撮るテクニックを知らなそうな様子をちょっと微笑ましく思いながら清光もSNSのアプリを開いた
心臓が止まるかと思った
あの天ぷらさんがアップしている写真が、どう見ても同じ店のものだったからだ
いつ来たんだろう、天気がいいからこの数日のことだろうか
映り込んでいる景色から、かれが清光と同じ窓際のカウンターに座ったことは確かだった
まさか
いやでも
心臓が早鐘を打っている
もしかして
清光は緊張で指を震わせながら、運ばれてきたスコーンと紅茶のセットの写真を撮ってすぐさまSNSに投稿した
いいねをくれた人のアカウントを覗くのが好きになった
いろんな人がいた
イラストを描いてる人、食べたものを撮ってる人、買ったものを撮ってる人、街中で見かけた花の名前を調べてる人
あんまりアカウントを更新していない人もいた
そんな人がどうやって俺のアカウントに辿り着いてフォローをしてくれたんだろうなと想像を巡らすのも楽しかった
ある日、「おやすみなさい」とコメントをくれた人のホームを覗きに行った清光はびっくりした
ちょっと前に見た時は数枚の写真が投稿されていただけで、いかにも義理で作ったという感じだったアカウントがたくさんの景色で溢れていた
写真はあんまり上手くはなかったしキャプションもない
ボケているのも多いしピントが被写体じゃなくて写り込んだ手になってるのも多い
でも、「いいな」と思った瞬間が見えるような気がした
中に一枚、知った店の外観があった
前を通りかかったことが何度かあったけど、老舗っぽいしいつも人が並んでいるから入れずにいる店だ
思わずコメントをつけたら、「天ぷら最高」という、いかにもこのアカウントの写真を撮った人が書きそうな返事がすぐに来た
清光は笑ってその返信にいいねをつけた
清光がおやすみ動画を投稿するようになったのは、眠る前の無為をどうにかしたいからだった
SNSで流れてくる動画をぼんやり見たりコスメの新情報を眺めたりするのは、確かに無心になれて悪くない時間だったけど同時に焦りも感じていた
最初に撮ったのは本当に短い動画だった
本当はいろんなことを言いたかった
今日仕事であったいやなこと、理不尽さに腹が立ったこと、やってしまったつまらないミス
吐き出すことはそれはそれですっきりしたけど、今まで撮ってはアップしてきた綺麗な写真と一緒にそんな動画が並ぶのはちょっといやかもな、と思った
清光はもう一度動画を撮った
今日あった嬉しいこと、ささやかでもいいから気分が明るくなったものについて話してみたら心の中がちょっとあたたかくなった
再生数は上がらなかったしコメントもつかなかったけど、自分で見返してみるともう一人の自分に褒めてもらえてるような気がしてなんだか幸せな気持ちになれた
続けるうちに少しずつコメントやいいねがつくようになった
清光はその人たちを自分と同じ気持ちを抱えてる人だと感じた
BL GL大好き。ReSoner。
現在作品はxfolioに再録作業中です。
パスワードは「yes」です。