「ずっと来たかったお店
スコーンすごく美味しそう!食べてからにしようかと思ったけどできたてスコーンの湯気を残しておきたくて」
という短いキャプションをつけたのは、見る人にリアルタイムだと気づいてもらえる可能性を上げたかったからだ
ほどなくその投稿にいいねの赤いハートがついた
天ぷらさんだ
隣に座った男は無反応だった
やっぱり違ったのかな、と思った瞬間バターナイフが皿にがちゃんとぶつかる音が隣からした
顔を上げると目が合う
男は手にしたスマホと清光の前に置かれたスコーンとティーポットを見比べてから何か言おうと口を開き、また閉じてごくんと唾を飲み、それからスマホの画面を指で叩き始めた
清光の投稿にコメントがつく
「もしかして、今」
相変わらず短い
清光は小さく笑ってから、戦々恐々としか言いようのない顔で自分を見つめる隣の席の男にこくりと頷いて見せた
「天ぷら最高、の人だよね?」
「は、いや、そ、そ、そうだす」
「あは、そんな緊張しないでよ。えーと、はじめましてでいいんだよね、kiyoです」
男は頷いてから口ごもった
自分が名乗るところだが名乗るべき名前がないのに気づいたのだろう
彼のアカウント名は「aaa」だった
ある休日、清光は前から行ってみたかった紅茶の専門店に出かけた
スコーンと一緒に紅茶を楽しめる小さな店だ
紅茶にもスコーンにも特別な思い入れはなかったけど、店の内装がちょっとゴシックな雰囲気だったので一度行ってみたいと思っていたところだった
狭い店内は二人がけの小さなテーブルがいくつかとカウンターだけで、流れているピアノ曲とあいまって静謐な空気に満たされていた
よく晴れた日だからだろう、窓際のカウンターに案内された清光は隣に座っている男が運ばれてきたスコーンと紅茶をスマホで撮影しているのを横目に見ながら注文を済ませた
いかにも不慣れというか、「映える」写真を撮るテクニックを知らなそうな様子をちょっと微笑ましく思いながら清光もSNSのアプリを開いた
心臓が止まるかと思った
あの天ぷらさんがアップしている写真が、どう見ても同じ店のものだったからだ
いつ来たんだろう、天気がいいからこの数日のことだろうか
映り込んでいる景色から、かれが清光と同じ窓際のカウンターに座ったことは確かだった
まさか
いやでも
心臓が早鐘を打っている
もしかして
清光は緊張で指を震わせながら、運ばれてきたスコーンと紅茶のセットの写真を撮ってすぐさまSNSに投稿した
いいねをくれた人のアカウントを覗くのが好きになった
いろんな人がいた
イラストを描いてる人、食べたものを撮ってる人、買ったものを撮ってる人、街中で見かけた花の名前を調べてる人
あんまりアカウントを更新していない人もいた
そんな人がどうやって俺のアカウントに辿り着いてフォローをしてくれたんだろうなと想像を巡らすのも楽しかった
ある日、「おやすみなさい」とコメントをくれた人のホームを覗きに行った清光はびっくりした
ちょっと前に見た時は数枚の写真が投稿されていただけで、いかにも義理で作ったという感じだったアカウントがたくさんの景色で溢れていた
写真はあんまり上手くはなかったしキャプションもない
ボケているのも多いしピントが被写体じゃなくて写り込んだ手になってるのも多い
でも、「いいな」と思った瞬間が見えるような気がした
中に一枚、知った店の外観があった
前を通りかかったことが何度かあったけど、老舗っぽいしいつも人が並んでいるから入れずにいる店だ
思わずコメントをつけたら、「天ぷら最高」という、いかにもこのアカウントの写真を撮った人が書きそうな返事がすぐに来た
清光は笑ってその返信にいいねをつけた
清光がおやすみ動画を投稿するようになったのは、眠る前の無為をどうにかしたいからだった
SNSで流れてくる動画をぼんやり見たりコスメの新情報を眺めたりするのは、確かに無心になれて悪くない時間だったけど同時に焦りも感じていた
最初に撮ったのは本当に短い動画だった
本当はいろんなことを言いたかった
今日仕事であったいやなこと、理不尽さに腹が立ったこと、やってしまったつまらないミス
吐き出すことはそれはそれですっきりしたけど、今まで撮ってはアップしてきた綺麗な写真と一緒にそんな動画が並ぶのはちょっといやかもな、と思った
清光はもう一度動画を撮った
今日あった嬉しいこと、ささやかでもいいから気分が明るくなったものについて話してみたら心の中がちょっとあたたかくなった
再生数は上がらなかったしコメントもつかなかったけど、自分で見返してみるともう一人の自分に褒めてもらえてるような気がしてなんだか幸せな気持ちになれた
続けるうちに少しずつコメントやいいねがつくようになった
清光はその人たちを自分と同じ気持ちを抱えてる人だと感じた
スタフラのやつ
監査官コートすごい着膨れしてるというより多分あれ姿勢が悪いのでは…?
露出部分が少なくて顔立ちがわりと幼い寄りだから余計にまるっとして見えると言うか
ウィッグの話とか
ステは回避が難しい外的要因を演出として盛り込むのが好きだなあと思っている
キャスト変更をただのキャスト変更ではなくて「実は別の本丸だから/別のループだから」みたいに意味づけするやつ
ウィッグに関して言えば禺伝のななみさんがつけてた歌仙のウィッグは明らかにゲームとは全然デザインが違ったし、それまでのステのものとも違ったっていうのが一番わかりやすくかつデカい変更だったと思うけど、あれはあえて変えたんだろうな〜って受け止めてる(しかし何のために変えたのかは正直さっぱりわからん、個体差はアホ毛には出ないだろ)
けど
そもそものウィッグの質を上げるという方向に行かないのが本当に不思議で…私はミュはほぼ観ないけど、ミュのウィッグは明らかに「ゲームの立ち絵を忠実に再現しようとしてる」のがわかるじゃないですか
私は禺伝則宗のウィッグは好きですけど、でも多分アレミュならもっとゲームの立ち絵に寄せてくれただろうなというのはすごいある、禺伝が番外っぽい特例扱いなのはわかってはいるけど!
音楽聴きながらのんびりする場所だろうからソロでも別段いいんだろうな〜とは思うもののテーブル相席状態で知らん人がいっぱいだとソロはキツいんだよな〜〜〜〜〜
そしてチケットが高い本当に高い
コットンクラブの音楽チャージは5000円台からあるっぽいけど
あとさぁこれ音楽聴くだけじゃなくて飲み物とか注文しないといけないんだよね、しかもそれにさらにチャージ10%かかるのでは?
見てるとパスタコースで5000円とかだから……いやごめんパフェとドリンクだけでがんばりたい…(貧しい)
BL GL大好き。ReSoner。
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