それ終履歴則清パロ
検索窓にふれてみる。だが、そこは空っぽだった。試しに一文字入れてみても、予測変換すら履歴を消しているのか何も出てはこない。
清光は則宗に端末を手渡す前に何やら操作していた。ということは、ここにはきっと則宗には見られたくないものが並んでいたのに違いない。
「やましいものって一体なんだい。助平な動画でも見てるのか?」
赤くなって否定するかと思いきや、清光はさらりと頷いた。
「そーね、それも見る」
「見るのか!?」
「見るよ」
「ぼ……僕がいるのに!?」
「あんたはどーなの。俺がいるからえっちな動画も何も見ないって?」
則宗はぐっと黙り込んだ。
実は見てる。世の中にはいろんな商売があり、その中には刀剣男士のえっちな動画を作って売る、というものもある。則宗のお気に入りはもちろん加州清光のえっちなやつだ。単独のも見るし、清光の同位体同士のやつも見る。浮気では断じてない。それはそれ、これはこれ、別腹なのだ。
清光はそら見ろとばかりに肩をそびやかした。
「ほらね。秘密は誰にでもあるの」
「どっ…どういうのを見てるんだ!?」
「内緒」
「なんでだ!」
「それはプライバシーだろ」
「えっ…ちな動画を見てるのもプライバシーじゃないのか!?」
それ終履歴則清パロ
「だいたいさ」
と清光は続ける。
「あんたにだってあるだろ。俺に知られたくないことがさ。どんなオカズで普段抜いてるのかとか」
どっと汗が噴き出した。
確かに知られたくない。だがそれは恥ずかしいからであって、清光のような「内心に属することでプライバシーだから」という理屈があるからではない。
そうだ、と則宗は思った。
そうなのだ。
恥ずかしがって照れて「履歴なんて見せたくないんだもん」と言われていたら、則宗もおとなしく引き下がっていた。まあ多少しつこくして清光を恥ずかしがらせたかもしれないが、今のような食い下がり方はしていなかったと思う。
則宗は──そう、さみしかったのだ。
俺のここから先には立ち入っちゃだめだよ、と線を引いて突き放されたような気がしたのだ。
それ終履歴則清パロ
しょげる則宗を見て清光は笑みまじりにため息をついた。
「則宗」
呼ばれて顔を上げると、いつの間にか清光の顔が吐息のかかるほど近くにあった。さっきまでちゃぶ台をはさんでああだこうだと言い合っていたのに、唇がふれそうな距離に則宗の胸が高鳴る。
「ふだん俺が何考えてるかは、俺だけのものなんだよ」
「…うん」
頷くしかない。清光はそうなのだ。則宗が、叶うならすべてを清光にさらけ出してしまいたいと思っているのとは裏腹に。
「でもね」
うつくむ顎先を、赤く艶やかな爪紅を乗せた指先がすくう。
「今、こうやってあんたと一緒にいるときに何を考えてるのかは、ぜんぶ教えてあげるよ」
「……!」
身体の中で熱がはぜたように体温が上がる。
「俺は今、あんたとキスしたい」
両腕が首にまきつく。吸い寄せられるように則宗は小さく薄く、そして少し冷たい唇を啄んだ。
「……あんたは?」
「ぼくも、……んぅ」
尋ねるくせに清光は則宗の唇をにゅるりと舐めてしまう。ちゅ、ちゅ、と小さな音がいくつもふたりの間で弾ける。
「ぼくも、したい……」
それ終履歴則清パロまとめました
https://crepu.net/post/4983362
くるっぷにまとめました。ちょっとだけえっちな描写があるので念のためセンシティブ設定しています。
ちなみに元ネタのオチは今も思い出せていません。
それ終履歴則清パロ
「それもそうだけど。でも単に見てるよって言うのと、どういうのを見てるのかを知らせるのって違うだろ。それは俺のプライバシーです」
なんだか突き放されたような気がして則宗は食い下がった。
「だが僕らはこ、恋人だろう。ただの恋人じゃあない、二世をを誓った仲じゃあないか」
清光の表情が甘くやわらいだ。
「そーね。あんたは大切な俺の恋人だよ」
「だったら」
「でもそれとこれとは別」
きっぱりとかぶりを振る清光に、つけいる隙はなさそうだ。