それがさ、19世紀の小説っていってもシュニッツラーとか最高だし、ホフマンの『 スキューデリ夫人』なんか つかみはバッチリという入り方で最高にサスペンスな中編が始まる感じがビンビンなんだよね。

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それはルイ14世の御代であった。暗夜のパリに強盗・殺人その他あらゆる悪徳が横行した時代である。深夜、スキューデリ夫人のわび住まいを訪ねる者があり、強く扉を叩く音がする。開ければどのような暴漢が押し入ってくるかと、家にただ一人の召使いマルティニエールは恐ろしさに震えながら、妹の結婚式だとかで留守にしている門番男のバプティストの間の悪さを呪っていた。しかしそうするうちにも扉を叩く音はどんどん強くなり「お願いでございます!なにとぞお開けください!火急のお願いに参ったのでございます。イエス様のお名前に免じてどうか開けてください!」

こんばんは。
興味深く一気に読んでしまいました。私のは『マドモワゼル・ド・スキュデリ』(大島かおり訳、光文社文庫)です。ちょうどkindleで無料。
面白かったです!緩急がすごいし、善悪が目まぐるしく入れ替わる。サスペンス小説の嚆矢かもしれませんね。
途中で長いことスキュデリさんがどっか行っちゃってるのが「19世紀的」でした😆

本筋とは関係ありませんけど…ルイ14世時代のフランス女性に課された役割など考えて気が重くなっておりましたら、スキュデリさんって実在なのですね!ソースはウィキペですが… en.m.wikipedia.org/wiki/Madele そしてブルーストッキング>『青鞜』とつながり、彼女が遠く20世紀初期の日本のフェミニズムに影響してくれたように感じ、感謝しました。彼女を題材にしたホフマンにも感謝です。

よき本のご紹介をありがとうございました。
kotobaphil-mtdn.eu/@Ksyzr/1113 [参照]

“サン・トノレ街に、マドレーヌ・ド・スキュデリの住む小さな家があった。雅やかな詩文と、ルイ一四世ならびにマントノン夫人の愛顧でもって知られていたひとである。
 ある夜更け──一六八〇年秋のことだったろうか──この家の扉を激しくたたく音がして、玄関ホールいっぱいにこだました。──マドモワゼルと呼びならわされた女主人の、この小さな世帯のコックと下男と玄関番を兼ねていたバプティストは、この日は女主人の許しを得て田舎の妹の結婚式へ出かけていたので、侍女のマルティニエールだけが、家のなかでひとりまだ起きていた。何度となく扉をたたく音を聞いて、バプティストが留守なこと、家にはマドモワゼルと自分が守り手なしにとり残されていることを思った。強盗や殺人など、そのころパリに横行していたあらゆる犯罪行為が脳裡をよぎる。きっとそういう手合いがこの家の無防備を知って、ああやって外で騒いでいるにちがいない、扉を開けさせて、女主人に悪事をはたらくつもりなのだ。そう思った彼女は、自分の部屋にこもって震えおののきながら、バプティストを妹の結婚式ともども呪っていた。そのあいだも扉を打つ音は鳴りやまず、合間あいまに声が聞こえるような気がする。 「お願いだ、開けてください、どうか開けてください!」”

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