恋文(1953)観た。題名をモチーフにした手書きの便箋に製作陣の名前が書かれてるオープニングがお洒落だー。男女のいわゆるメロドラマなのだろうけど戦前戦後と戦争で選択も生き方も変えられた人達の物語の面も強く出ていたな(いやこの時代の作品はそれの影響のないものなんてないんだけど…)
礼吉さんは道子さんを彼女が違う相手と結婚して別れたとしてもずっと思っていたからこそ言いたい気持ちもわか…らなくはないけどやっぱりどうしてもそうぜざるを得なかった道子さんの感情や葛藤もわかってほしいよとは思ってしまった。最後には友人の説得や状況によって考えを改めてくれたように映ったのでよかった… 途中は道子さんもう仕事も見つけたのだから何とかひとりで頑張ってほしいの気持にかなり傾きながら見てたけども…
道子さんが昔の馴染みの人達から声を掛けれれて言葉に詰まる場面、道子さんは近くで彼女達の姿を見てるからその苦労や葛藤も知っているからこそ言い返したり弟君のように「この人は君達とは違うんだ」のようなひどい言葉を言わなかったのかなと思ってたけどそれとは違うみたいに感じで見てて複雑になった。
駅中や町中のロケーションが多かったのと何となく奥行きのある映し方が多くて新鮮だったな(礼吉さんが道子さんを罵った後道子さんが先の道(カメラの奥)に歩いていく場面とか)最後も無言で様々な感情を抱える礼吉さんの場面で終わるのも個人的にはよかったし少し希望を持てる終わり方なのでほっとしたのもあった
カメオ出演も含めて俳優陣がめちゃくちゃ豪華〜。初監督作品のこういう感じ(?)岡本喜八監督の『結婚のすべて』を思い出して楽しいな
恋文(1953)のこと。本編の具体的な場面の話
礼吉さんの弟君が古書店で買った本を別の場所で売って上前を跳ねる商売をしていて結構儲かってるのにはそういう職業もあるんだなと(個人的にはええのかという気持ちもありつつ)思ってたら、古書店に通う外国人のお妾さんとなってる人達が最新の洋雑誌を買い取ってもらってるのを見てこれはと思ってそこの商店街で洋雑誌を買い取り販売する商売を始めてて。いいのかそれとなってしまったのだけど同業の古書店さんは上手く商売してるわねと笑顔で話すし(香川京子さん)(「同業者には(も)優しい顔をしないとね」と話す店主(沢村貞子さん)もいるし)それはいいんだ…と驚いた。巡り巡るというか…みんな「生活している」のだなと思えた。