ラテン文において、「前者」をille、「後者」をhicと言うことが多いが、文中の前後関係とは関係なしに、心情的に重きをなす側をhicとし、それより一段墜ちる側をilleとする場合がある。

アルクィンの墓碑銘(Epitaphium)で
quapropter potius animam curare memento,
quam carnem, quoniam haec manet, illa perit.
それ故に肉体よりも精神を気に掛けることを知るべし、
"haect(後者)"は留まり、"illa(前者)"は滅びる故に。
のhaecとillaは、文中の前後ではなく心情的な軽重の反映だろう。

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つまり文中の順番通りに「肉体は留まり、精神は滅びる」ではなく、それとは逆に「精神は留まり、肉体は滅びる」ということだろう。

このhic、illeの使い方は、白水社「ラテン広文典」の249.(148~149頁)にも説明されている。

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