幌 📚 @NumiMele_horo@fedibird.com

[幌メモ その19]
M・W・クレイヴン『ストーンサークルの殺人』ハヤカワ・ミステリ文庫
[訳] 東野さやか
〈ワシントン・ポー〉シリーズ第1作目。イギリス・カンブリア州でひっそりとドライストーンの壁の修復に勤しんでいる停職中のポーの元へ嘗ての部下ステファニー・フリンが国家犯罪対策庁・重大犯罪分析課に彼を捜査復帰させるため訪ねてきた。

📚 2019年のゴールド・ダガー受賞作品。カンブリア州初の連続殺人鬼〈イモレーション・マン〉を追うために職場復帰したワシントン・ポーたちの物語。まず、登場人物の内面的造形が魅力的です 👍 特に「ある主要人物」が醸し出す唯一無二の存在感が非常に新鮮で、それだけでも作品にグイグイ引き込まれていきました 😍

📚 ただ、語られている「事件」が何とも……血が逆流するような内容でして 😡 これは結末を知るまで終われない、という使命感で読み進めました 😤 結論から言えばそれは勿論正解で、結果としてこういう作品もあるんだ、という読後感を味わえました ☺️

面白いので、余り多くを語れない。この作品もそういう「傑作」です。

読了日 2022年1月11日

[追記] 新作『デザートラットの殺人』が出る 😍 ということで紹介します ☺️

#幌メモ

[幌メモ その18]
滝田務雄『田舎の刑事の趣味とお仕事』創元推理文庫
〈田舎の刑事〉シリーズ第1作目。とある田舎の警察署・刑事課所属の巡査部長、既婚で子供なしの黒川鈴木という珍名さんが主人公の脱力系ミステリ。全体的に長閑で牧歌的な雰囲気の作品群ですが、まあ一言で言えば「面白い」。

📚 この面白さの構成要素は何かと考えれば、まずは個性的な登場人物たちと主人公との掛け合いを挙げます。それも職場の人間だけではなく想像もしていない所からも強烈な球が投げられます 😅 最初は面食らいましたが後半の作品になると癖になり、いつ登場するのか楽しみになるほどの存在感です ☺️

📚 もうひとつは、そんな登場人物の多彩な「攻撃」にもめげずに現場から地道に紡ぎ出していく、黒川刑事の名推理です。この2つのバランスが非常に上手く融合した結果、あまり例のない不思議な雰囲気ながらも読み応えのある作品が誕生したんだなと思います。

伏線回収も秀逸でした。続編も読みたい 😆

読了日 2018年2月20日

[追記] で教えてもらいました。自分では探し出せなかった面白い作品ということで強烈に印象に残っています 😌

#幌メモ

[幌メモ その17]
横田順彌『大聖神』竹書房文庫
[編] 日下三蔵
シリーズ第2作目。日露戦争終結後の明治40年4月末。世界自転車無銭旅行中の中村春吉は露西亜探検の足がかりとしてベルリンにいたのだが、独逸大使館付武官・山梨中佐からの依頼で東蒙古探検に派遣された欧露軍精鋭の真の目的を探るべく一転、大興安嶺山脈に向かうことに。

📚 明治を舞台にした長編空想科学冒険奇譚「大聖神」に加えて作者の『明治バンカラ快人伝』から「自転車世界無銭旅行者 中村春吉」を併録した、充実の内容です 😆 前作の『幻綺行』も楽しかったけれど冒険や怪異をじっくり読ませた今作も面白かったです ☺️

でも、それ以上に中村春吉本人が語った「冒険」の破天荒さたるや 😅

読了日 2022年8月9日

[追記] 夏はまだ終わらない 😤 濃厚な冒険小説なのですが……やはり『幻綺行』を読んでからのほうが、より深く楽しめる作品です

#幌メモ

横溝正史『横溝正史少年小説コレクション1 怪獣男爵』柏書房
[編] 日下三蔵
瀬戸内海の真ん中にある離れ小島。大生理学者・古柳冬彦が兄・夏彦男爵の死後、無人島を買い取り西洋の城のような家を建てたことから男爵島と言われるようになった島なのだが、どうやらその島には得体の知れない怪物が隠れているという噂が……（表題作）。稀代の大犯罪者との対決を描いた長編三部作を収録。

📚 小山田博士や金田一耕助の敵役として異形のキャラクター・怪獣男爵が登場する長編『怪獣男爵』『大迷宮』『黄金の指紋』の3作品を1冊で読める作品集。夏に読みたかった横溝少年小説、漸く読み始められました 😆 ただ今後は、3連休とかの長目の休みに家読み中心で読み進めていくことにします。流石に持ち歩けない厚さの本なので…… 😅

📚 個人的には『怪獣男爵』に出てくる、ある病院の院長の名前が木常昏々（きつねこんこん）という、非常に印象的で度肝を抜かれる名前であったことは紹介させていただきます……因みに奥様はケン子さん。実に少年小説っぽいネーミングです

#読書

[幌メモ その16]
エイドリアン・マッキンティ『コールド・コールド・グラウンド』ハヤカワ・ミステリ文庫
[訳] 武藤陽生
〈ショーン・ダフィ〉シリーズ第1作目。紛争が日常化する1980年代の北アイルランド。ショーン・ダフィ巡査部長は、キャリックファーガス署に赴任早々「この地では類をみない」奇怪な連続殺人事件と対峙することになる……。

📚 主人公を含め登場人物たちが個性的だし、歴史的な紛争と連続殺人等が交錯する重い話の割に会話の遣り取り等にユーモアが豊富なのが救われます。ただ、如何せん複雑な歴史を抱えている国の物語なので、ある程度の予備知識があるとより楽しめるかと。私も次作を読む前に映画『ハンガー』を観ます。

【印象的な言葉】

人間はパターンを探し求める生き物だという。それは遺伝子の中に組み込まれている。だから陰謀論と神がこれほどもてはやされる。俺たちは物事について、もっと広範な説明を、もっと大きな説明をつねに求めているのだ。

【ｺｺﾏﾃﾞ】

📚 主人公ショーンの、事件解明の糸口を求める心の声。

読了日 2019年4月25日

[追記] 遠藤航選手、レッズ移籍おめでとう 🎉 ということで（主人公のショーン・ダフィはリヴァプールファン）紹介します 😆

#幌メモ

[幌メモ その15]
ローレンス・ブロック『殺し屋』二見文庫
[訳] 田口俊樹
〈殺し屋ケラー〉シリーズ第1作目。ドットからの電話を受けグランド・セントラル駅から列車でニューヨーク州ホワイト・プレーンズへ。そこで男から依頼内容を聞き、現地へ旅立ち粛々と「仕事」をこなす中年男、ジョン・ポール・ケラーの冒険譚。全10編の連作短編集。

📚 あらすじ的なものをシンプルに書いてしまうと身も蓋もない説明になってしまいましたが……実に味わい深い作品です 😌 この作品を読んで「物語の導入への切り口」は想像以上に多種多様だということ、或いは、その存在を単に気付かずに過ごしてしまっているだけなのかもしれないことを、思い知らされました……それくらい、この作品が各話で提供してくれる色々な意味での「意外性」は心地良いし、楽しいものでした。そして読書というものはジャンルや国、時代等に拘わらず多くの作品に触れ、親しみ、読み続けるべきだということも痛感しました。

因みに、どの短編も素敵でしたが「ケラーの責任」は特に凄く好きな話です ☺️

読了日 2021年10月25日

[追記] 伊坂幸太郎の〈殺し屋〉シリーズ最新刊『777 トリプルセブン』が発売されるということで……こちらの作品を帯付きで紹介します 🥰

#幌メモ

[幌メモ その14]
田中啓文『宇宙探偵ノーグレイ』河出文庫
多数の怪獣が生息したり、天使が浮遊していたり、人口が厳密に管理されていたり……多分に特徴ある各惑星で想定外の殺人事件が発生した。極秘に解決するため外部から招聘されたのは、訳あり宇宙探偵のキーコ・ノーグレイ。1話「完結」、全5編の連作短編集。

📚 読む前に持っていたイメージを色々と裏切ってくれた作品。突拍子も無い設定だからこそ、謎解き部分は事前に提示された条件で解決に導けるため（一応 😅 ）フェアであり、第1話からずっと持たされる「ある違和感」や疑問も無事回収されるしで、楽しい読書でした ☺️
今後、作者の他作品も読んでみます ✨

読了日 2020年2月1日

[追記] 旧TwitterのTLで読了されている方がいたのを見て、つい嬉しくなり……紹介させていただきます ☺️

#幌メモ

[幌メモ その13]
仁木悦子『猫は知っていた』講談社文庫
〈仁木兄妹〉シリーズ長編第1作目。これまで借りていた部屋を追い出され兄の友人の世話で郊外にある箱崎医院の二階で下宿することになった兄妹。引越しの2日後、彼らは院内で起きた不可解な殺人事件と対峙することになる。第3回江戸川乱歩賞受賞作品。

📚 約240ページ、且つ平易に表現されながらも濃厚な構成の作品。読後に題名の持つ意味が明確に分かること、謎を解く鍵はフェアに用意されていて何気なく読み流しがちな部分にこそ重要な意味があること、そういったロジックは（トリックの質自体は不可能でも）時代を超え得るのだと再認識させられました。

【作品中の名文】

「父は探偵小説はどれもこしらえ物だと言って読みません。僕も同感ですね。最初から不合理な筋を、無理やりこじつけて、でっち上げるんですからね。こういった種類の読み物は」

こしらえ物だろうが、でっち上げだろうが、かまやしない。私はこれが好きなのだから。

【ｺｺﾏﾃﾞ】

📚 兄の探偵小説に対する見解に対しての妹の感想なのですが……悦子さん御尤も、私もそう思います 🥰

読了日 2019年1月7日

[追記] 現在、新装版が購入できます。電子版もあるようです。

#幌メモ

[幌メモ その12]
佐野洋『一本の鉛』講談社文庫
市内に初雪のあった10月20日朝、白雪荘の自室でバーの女給が絞殺される事件が発生。札幌中央署では疑いのある大学生・大田垣を重要参考人として取り調べているが、彼が行きつけだったバーのマダム・杏子は事件の経緯に疑問を持ち刑事弁護士・海老沢と共に事件の真相を探る。

📚 偏ってミステリを読んでいるので、どことなく敬遠していた佐野作品。今回漸く読みましたが……見事でした ☺️ 冗長に思えた序盤の文章や構成は実は一切無駄がなく、美しくさえあると読後に痛感しました ✨特に、題名に込められた意味の深さに気づかされたあの箇所……！非常に納得させられました 😌

📚 220ページ程の作品ですが濃い内容と多い登場人物。複雑な背景や人間関係がある上に非常に細かいフックもちらほら。丁寧に読まないと見落としそうな箇所もあって読み応えは十分。満足度、高し ☺️更に巻末解説・青木雨彦氏の痒いところに手が届く文章の秀逸さ。

佐野作品、追加でポチポチ致しましたよ 😍

読了日 2021年1月10日

[追記] 2021年当時は都筑道夫を多く読んでいました。それを踏まえての「偏って」です…… 😅

#幌メモ

[2023年 上半期本 その12] 読了日 6月24日
ステイシー・ウィリンガム『すべての罪は沼地に眠る』ハヤカワ・ミステリ文庫
[訳] 大谷瑠璃子

1999年7月、ルイジアナ州の湿地で少女6人を殺したとしてクロエの父が逮捕され、有罪判決を受けた。それから20年後の夏、心の傷に苦しみながらも臨床心理士として成功し結婚を控えている彼女の周りで再び、父と同じ手口の連続殺人事件が起こる。

📚 以前似たような題材の作品を読んだのでハードルを下げた状態 🤔 で読み始めたのですが……結論としましては非常に魅力的なデビュー作だと思います ☺️ 特に小道具の使い方や「連続殺人犯の子供」として生きる兄妹の心理描写、視点によって持つ意味が変わる構図の配置バランス等……想像以上に楽しめました 😍

[2023年 上半期本 その11] 読了日 6月13日
久生十蘭『魔都』創元推理文庫

日比谷公園の鶴の噴水が歌を唄うらしい──。昭和9年の大晦日、銀座裏のバーで「夕陽新聞」の記者・古市加十は来遊中の安南国皇帝・宗方龍太郎にそう話しかけられた。この奇妙な邂逅が端緒となり帝都を震撼せしめる一大事件の幕が開く。小説の魔術師による長編探偵小説。

📚 絢爛と狂騒に彩られた帝都の年末年始30時間を群像劇的手法を駆使し闊達自在な筆致で活写した作品。職場で少しずつ読み進めていたのですが、そのお陰で1冊の本というより当時の〈新青年〉での連載を読んでいるかのようでした 🥰 どうにも不思議な読み応えと、それに相応しい題名『魔都』。楽しい読書でした 😆

[2023年 上半期本 その10] 読了日 5月24日
スティーヴ・ハミルトン『解錠師』ハヤカワ・ミステリ文庫
[訳] 越前敏弥

1990年、夏。8歳の時ある出来事から言葉を失ってしまった「奇跡の少年」マイクル。それ以降、周囲に馴染むことが出来ない彼が得意にしたこと、それは絵を描くことと、解錠だった──。
9年間小粋なオレンジ色のつなぎ服を着る現在のマイクルが我々に語る、その半生。

📚 2011年のエドガー賞長編賞等、名だたるミステリ賞を受賞したクライム・サスペンスということもあって私の中で期待値が高くなり過ぎてしまっていた作品でしたが……想像以上に面白かったです ☺️ ふたつの時間が終盤にかけて近づき加速する展開に引き込まれました。そして読後に分かる、カバー画の意味 😭

[幌メモ その11]
パーシヴァル・ワイルド『悪党どものお楽しみ』ちくま文庫
[訳] 巴妙子
「狂乱の1920年代」が舞台。賭博師から足を洗い農場経営を継いだビルが、ギャンブル好きで愛すべきポンコツのトニーに担ぎ出されて各地のクラブで起きるトラブルを解決していくユーモア・ミステリ。

この連作短編集は、素敵すぎます 😍💕

📚 各登場人物の個性、会話の洒脱さと間の良さ、作品構成の妙とベストのサイズ感、行間から滲み出る様々な感情。それら全てを作者のユーモアが包み込み思わずニヤリとせざるを得ないパンチラインへと導かれ、極上の作品に仕上げられます。

各短編の並ぶ順番さえも味わい深く、最適。

素敵すぎます。

読了日 2018年9月24日

#幌メモ

いしいひさいち『ROCA 吉川ロカ ストーリーライブ』（笑）いしい商店
ポルトガルの国民歌謡・ファドの歌手を目指す女の子・吉川露花がその類い稀な歌唱能力を見出され、花開いていく物語。

📚 基本は4コマで構成されたストーリー漫画。しかし……1コマだけでも成立する説得力ある絵と、漫画だからこそ表現できる展開、そしてそれだけでなく行間・コマの外にも登場人物たちの心模様・うつろう感じ・心の機微が明快に提示されているわけではないけれど込められており、それらが深く刺さります 🥲

それを老若男女に届き得る形で読む人を選ばず表現されているというのもまた凄い。こういう漫画を読めた喜びたるや…… 😭

📚 既に完成された作品であること、それにも拘わらず作者自身がその完成度合いに不満タラタラであること、更に今後エピソード集も読めそうということも踏まえ、もう少しこの作品世界が味わえるなら、ぜひ楽しみにしたい。とても素敵な作品でした ☺️

#読書

[幌メモ その10]
岡嶋二人『ちょっと探偵してみませんか』講談社文庫
タイトルが示す通り、読者が謎解きを楽しめる構成の推理ショート・ショート集。ただ、この謎が存外難しい…… 😅 ひとつの作品が約10ページ。提示された文章から確かに正解は導けるものの、解答編ほどの論理構築と説明が出来なかった時の歯痒さたるや 😭

📚 因みに全25編のうち「ラスコーリニコフの供述」「ご注文は、おきまりですか」「煙の出てきた日」「組長たちの休日」「最後の講演」「明かりをつけて」「ルームランプは消さないで」「酔って候」「シェラザードのひとりごと」が、特にお気に入りの作品です ☺️ ……謎が解けたかどうかは、別の話 😅

読了日 2019年7月23日

#幌メモ

和田誠／平野レミ『旅の絵日記』中公文庫
1989年の夏、中学生と小学生の息子を連れて友人であるフランス在住の写真家・関原彰氏の運転でフランス・スペイン・モナコ・イタリアを巡った和田さん一家の旅行記録。因みに日記は妻のレミさん、絵とコラムは夫の和田さん。読むと心が軽くなる上に、お腹も空いてくる絵日記です ☺️

📚 更に……作中に登場する中学生の息子さんが「TRICERATOPS」のボーカル・和田唱氏で小学生の息子さんはキッチン用品ブランド「remy」を立ち上げた和田率氏です ☺️

#読書

セバスチャン・フィツェック『乗客ナンバー23の消失』文春文庫
[訳] 酒寄進一

家族に死なれてから恐怖心と無縁となり署では時限爆弾扱い、38歳で引退勧告されているものの敏腕な囮捜査官・マルティンに突然、ごく僅かな人間しか知らないはずの番号に非通知の電話がかかる。「できるだけ早く〈海のスルタン〉号に乗船してもらわないと」──それは5年前に妻子が消えた、大西洋横断客船の名だった。前代未聞の閉鎖空間サスペンス。

📚 かねてより乗客の失踪が相次いでいる〈海のスルタン〉号。船内の巨大な内部で次々と発生する謎、また謎。一体、何が起きているのか──。感想ですが……真相を知ったときは頭がクラクラしました 😩 そして読み流してしまっていた何気ないものに意味があったんだと気づき、少し再読……きちんと書いてある。最悪の悪夢を描いた上でフェアであり、更に読後感がさほど悪くないという、不思議な作品でした 🤔

📚 一応情報としまして、主人公マルティン・シュヴァルツはベルリンの囮捜査官。そのためかサッカークラブのヘルタ・ベルリンにまつわる記述も作品内に少しありました ☺️

#読書

[幌メモ その9]
月村了衛『コルトM1851残月』文春文庫
表立っては廻船問屋の有能な番頭、裏では闇経済を牛耳る札差・祝屋儀平の跡目候補と目される、残月の郎次。彼の得物は未だ誰も存在さえ知らない「六連発の新型短筒」──。江戸の暗黒街を鉄面皮の極悪商人たちが跋扈する時代小説ノワール。

📚 江戸時代が舞台なのに、ガン・アクションがほぼ全編にわたって違和感なく織り込まれている作品を読めるとは…… 😂
衝撃的な導入部、徐々に明らかになる各登場人物の哀しい過去、更に終盤にかけての怒涛の構成。ページを繰る手が止まりませんでした。哀愁溢れる物語ですが、滅茶苦茶格好良かったです。

📚 因みに『こると・えむ・いちはちごいち・ざんげつ』と読みます。

読了日 2018年3月23日

[追記] こういう異質なものの組み合わせって、グッときます 😍 私はこの作品で月村了衛を知りました 😁 そして続編というか……同テーマの作品として『コルトM1847羽衣』があります。こちらも面白かったです。いずれ紹介します 😉

#幌メモ

[幌メモ その8]
チャールズ・ウィリアムズ『絶海の訪問者』扶桑社ミステリー
[訳] 矢口誠
ジョンとレイのイングラム夫妻はカリブ海を経由しタヒチを目指して外洋ヨットで新婚旅行に出ていた。太平洋上でのある、死んだような凪の朝。ふたりは1隻の沈みかけたヨットと、手漕ぎボートでこちらのヨットに向かってくる、救命胴衣を着た若い男を発見する。

📚 エイドリアン・マッキンティがこの作品のことを呟いていたということで興味を持ち、読んでみました ☺️ 以下、感想です……太平洋上で1日の間に発生したとは思えない、濃厚な出来事。息が詰まる静寂の中、時間的制限がある緊迫感漂うヨット上で続発するトラブルに立ち向かう夫婦の行動力、機転、決断力。

📚 ジャンルはサスペンス・スリラーでしょうか。夢中になり過ぎたので読むペースを落とすほど ☺️ 特筆すべきは読んでいる途中からジワジワ来たカバー画＆題名の素晴らしさ 😆 更に主人公・ジョンは妻にヨット上で散髪されて「とんでもない虎刈り」だったという衝撃の事実 😅 クールなのに、イケオジなのに、虎刈り…… 😭

読了日 2022年8月25日

[追記] 夏に向いているというか……冷たい飲み物を用意して涼しい部屋で読みたい本です 😌

#幌メモ

[幌メモ その7]
橘外男『蒲団』中公文庫
明治41年の10月初め頃、ある地方の古着屋「越前屋」の主人が東京から破格の値で仕入れてきた上等な青海波模様の縮緬蒲団。掘り出し物だと喜んだ主人だったがその後、商売不振になり、家中に妙な出来事が頻発するように……（表題作）。全7編の文庫オリジナル怪談小説集。

📚 夏の間に読もう、と早速 ☺️ 1938年に第7回直木賞を受賞した作者が情熱を傾けたジャンル、怪談。中公文庫編集部により選定された7編は王道というか恐ろし過ぎる「蒲団」🥶 、研究者の切ない物語「棺前結婚」、怖さと哀愁を相持つ「逗子物語」、胸に沁みる哀切な作品「帰らぬ子」等々、贅沢な作品集でした。

📚 作品の配置も第1部は聞き書きスタイル、第2部は一人称語りのスタイルと分けてある上に「怪談としての怖さ」やページ数のバランスも考慮されているようで……読み進めて、作者の圧倒的な文章力に打ちのめされた結果、それぞれの作品が寧ろ胸に響いたり、涙を誘ったり 😌 怪談が持つ懐の深さ、堪能致しました……。

読了日 2022年8月22日

[追記] しっかり怖い即効性のある作品や、じっくり余韻に浸れる作品、様々なニーズに応えられるお勧めの怪談集です。

#幌メモ