上の世代の女性らは、確かに男性に迎合することでこの男性優位の仕組みの温存に加担していると言えるかもしれない。許せない気持ちもある。しかし彼女達の被害も無視してよいのか。
短い時間で猛烈に突っ走る主人公には、立ち止まって考える場面が殆ど無い。それだけの怒り。決して愚かではなく、戦う力も知恵もあるが、慎重に振る舞うこと、立ち止まることはなかなかできない。故に生き残れたのだし、俯瞰した視野で考えるのに必要な“教育“を受ける機会もないままに生きてきた。戦いの人生。そのしっぺ返しをこれから受けるのではないか。
過酷な境遇で痛め付けられたゆえに、過剰なまでに攻撃(反撃)したくなるのはとても分かる。それゆえの危うさを感じながら読み進めた。
最後のオチは何となく予期していたもので「よしよし、キタキタ」と思ったが、物語はブツリと終わる。ちらほら存在を匂わせる神のごとき存在についてもまだ不明瞭だ。続編の予定があるそう。主人公の成長が見られるだろうか。そればかりでなく、よりSF的な話運びを期待できるのか――今のところ可能性半々くらいに見てしまってるが――しばらく待ちたいと思う。