蒲松齢 著『聊斎志異』(一七四〇年刊)の 柴田天馬 訳(創元社、一九四六年(昭和26年))がなぜか手元にあるのですが、 柴田天馬がつけた訳が個人的に重宝すると思うのです。 

直訳(書き下し文のイメージ)なので当時使われていた物の名前や言葉などをそのまま参照することができるからです。普通は原文と訳が別で照らし合わせて読むのが面倒なんだけど、これはそのまま読めてしまうのがすごく楽。需要があるか知らないけど自分が気になったことをメモ。

※以下、五巻「狐嫁女」より〔〕内は柴田天馬によるふりがな兼日本語訳

●青衣人〔こしもと〕
中国では身分の低い人や召使は青い衣を着ていたということですが、これで召使を表せてしまうんですね。それを「こしもと」と訳すのはさすが昭和。
婉曲表現で青衣の人と使ってみてもいいかも…!

●女奴〔じょちゅう〕
腰元との違いが私にはよく分からないです。腰元は貴人の側に仕える感じなのかな?こちらは雑用係みたいな感じか?

●月が銜山一綫〔やまのはにおちかか〕って
直訳すると山が月を喰む境界におちかかって、みたいな感じ? この表現いいなあと。

●履声〔あしおと〕
足音じゃないのね。あちらの人たちは室内でも履いているからね。