フォロー

トランプ共和党が業界と結託し、クリプト/ビットコイン支持政策を打ち出した件について、「主流派経済学者は何をやってるんだ?」と思っていたが、ポール・クルーグマンがやってくれた。

J.D.バンス副大統領候補への批判記事の中で、ビットコイン政策についても「ビットコインは経済学的には役立たずだ」とばっさり。

Tech Bro Elegy: How Did JD Vance Get Here?, New York Times, July 29, 2024
nytimes.com/2024/07/29/opinion

クルーグマンは「トランプとバンスのチケットを強力に支持するテック業界の億万長者たちは、非常に裕福ではあるが、比較的小さなグループである」と書く。その通りだ。これはごく少人数の人々の利益のための取引で、すべての人の方を向いた政策などではない。

また共和党が発表した綱領には、業界独特の(カルト的な)言葉使いで、ビットコインとクリプトの支持、中央銀行デジタル通貨の否定が書き込まれた。「有権者に向けたと思われるかなり短い文書に、奇妙な内容を盛り込むのはいかがなものだろうか」とクルーグマンは指摘する。これはまったくの正論だ。
(続く

クルーグマンは、イーロン・マスクらテック富豪たちの「おかしさ」を以前から指摘してきた。彼らは金銭的な利益を追求するだけでなく、自己愛が強すぎ名声を欲しがる。そして極右に染まる。経済学者の目から見ても、超富裕層は社会のバランスを崩す存在に見えているのである。

私から補足:
クルーグマンの言うことにビットコイン支持者は反発するだろうが、ひとついえることは、政府がビットコイン流通量の5%を保有した程度ではアメリカ経済への影響は皆無。業界と一部の保有者が喜ぶだけだ。

加えて、ビットコイン支持者が唱える「ビットコイン本位制」などのアイデアは、経済学者らの検証を十分に経た理論とはいえない。主流派経済学者が無視あるいは反対するのは当たり前。共有できる理論がない以上、生産的な議論も難しいだろう。

なお、私自身の立場は、アンチビットコインでも、ビットコイン推進派でもない。善用も悪用もできる要注意の存在として慎重に取り扱うべきだと考えている。経済学的には、せいいっぱい好意的に考えても「未検証の存在」として扱うべきだろう。

そして私自身は、政府のビットコイン大量保有は悪手だと考えている。それはビットコインの市場を歪め、その特徴を殺してしまうからだ。

ログインして会話に参加
Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。