ちょっと補足します。お題は「民主主義について」
自分も若い頃には、この手の話(正当性と長期戦)を嫌っていたと思うんですよね。「迅速に、強制力を持って、確実に、人権状況を改善させる方法はないのか!」。そんな風に思っただろう。
この考え方の帰結は「権力を握ればいい」ということ。独裁者になれば「ぼくの考えるさいきょうの人権」をただちに実現できる。法治国家であっても、議会の多数派を握り法律をバンバン通せば、強制的に人権状況を改善できる。
しかしながら、権力者が正当性を持っているか否かを権力者自身に決めさせるやり方は腐敗を招く。第三者のチェックが必須であり、つまり民主義を機能させることが必須となる。
すると、次のベターなアイデアは、「より大勢の意見を取り入れた、より高速に機能する民主主義を実現する」というもの。
台湾のデジタル省は「民意を政策に取り入れるためのデジタル技術」を実際に試みています。これは世界の最先端の一つだろうと思っています。
訂正 意義申し立て→異議申し立て
補足:
「異議申し立て」は、人権擁護においても、民主主義においても、基本中の基本です。民主主義とは「異議申し立てルートが存在すること」といえます。
アマルティア・センは、飢饉について研究し、「異議申し立て=民主主義がない所でだけ、飢饉が起こる」と喝破しました。
国連文書「ビジネスと人権に関する指導原則」では、企業に人権救済窓口=グリーバンスメカニズムの設置を求めます。旧ジャニーズ事務所問題で「救済窓口」が話題になっているのも、この文脈といえます。