『タイタニック』をチラ見したが、やはりジェームズ・キャメロンが描く身体性に面白みを覚える……ド低予算で製作してカルト的に人気を博した『ターミネーター』でシュワルツェネッガーの肉体=兵器を描いたすぐあとに『エイリアン2』のリプリーがシガニー・ウィーバーの屈強とは言えない体に武器を取らせて戦わせたこと、それに続く『ターミネーター2』のサラ・コナー(サラ・ハミルトン)の武装、サイボーグと(擬似)母親という付随する性役割はあれど戦う身体を描くにあたっては非常にフラットな視線があるんじゃないかと思っている。

「フランス娘のように描いて」とジャックの前で裸婦となるローズ、未婚の女性で、令嬢で、あまつさえ婚約者の宝石を持ち出して身を飾らせているの、率直にMy body My choice My lifeを感じる ジャックと落ち合う前に目にした、母親に寛いだ姿勢を咎められて小さな手でシルクのスカーフを膝に置いてお行儀よく座る小さな少女に、令嬢として生きることを定められた自分を重ねていた─その人生からの(一時的にでも)脱却としてまず身体を自らのものとしているのがすごく印象的。直前にあの有名な船頭で羽ばたくシーンがあって、ジャックと熱いキスを交わして、一等客室の超豪華なリビングルームに二人で駆け込んで、までして安直にセックスにもつれこまないんだよな。まずローズは自分の体の主導権を母親から婚約者から奪い、取り戻して、後に「ローズ・ドーソン」を名乗って生きる選択を手にした。この流れがすごく面白く感じる。

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『ターミネーター』と『タイタニック』が同じ監督っていまだにおおっそうか、となるんだけど、身体の描き方で見ると同じ視線を感じられるような気がする。キャラクターが自分の体を自分のものとして生きているように感じられる。

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