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感情を、「一旦、自分の心の中にプールして、自分の感情として味わう」という能力は、実はすごく人間にとって大事なもので、心の内側の世界と、外側の世界の区別がつけられるようになるのは、その能力が身についてからなんです。

大きな災害などで心の中の不安が高まった時に、その不快感を自分の不安としてプール出来ない人は、その原因を外の現実に映し込んで(投影して)「アイツのせいだ!」「あの国が襲ってくる!」となってしまう。その手の人は、自分が不安だと感じる前に、悪者を外側に発見してしまうんです。心の内側と外側の混乱がある。

だから、不安も含めた大きな範囲での「感情」を自分の内側に感じ取って、外側の現実とは一度切り分けた後で、「考える(考察する)」というプロセスを踏むためにも、その感情をまずは内側にプールする能力が大事。

そういう、感情を一度心の中にプール出来る能力が備わった心のことを、精神分析ではデプレッシブ-ポジションと呼びます。この状態は自分の気持ちが分かると同時に他人の気持ちも分かるようになる状態で、願望と思うに任せない現実の区別もつくようになり、悲しみを体験できるようになります。

まだそこまで発達出来ていない心の状態をスキゾイド・パラノイド-ポジションと呼んで、まだ自分の感情を自分の心という場所にプールする力がないので、感情を心の中で味わうことができずに外の世界に投影して、不快なことがある時に考えずにすぐさま行動に移して解消しようとする傾向があります。

例えば自分にとって不快な感情(悲しみ、怒り、喪失感等)を自分に与えた存在を消すことで(または傷めつけて罰を与えて)、自分の心の中の辛さを今すぐ消そうとする。ちょっとの間でも感じるのが耐え難いから、衝動的な暴力に向かう。一旦暴力として苦しみを発散してしまうとあとはケロッとしている。

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