そういう、感情を一度心の中にプール出来る能力が備わった心のことを、精神分析ではデプレッシブ-ポジションと呼びます。この状態は自分の気持ちが分かると同時に他人の気持ちも分かるようになる状態で、願望と思うに任せない現実の区別もつくようになり、悲しみを体験できるようになります。
まだそこまで発達出来ていない心の状態をスキゾイド・パラノイド-ポジションと呼んで、まだ自分の感情を自分の心という場所にプールする力がないので、感情を心の中で味わうことができずに外の世界に投影して、不快なことがある時に考えずにすぐさま行動に移して解消しようとする傾向があります。
例えば自分にとって不快な感情(悲しみ、怒り、喪失感等)を自分に与えた存在を消すことで(または傷めつけて罰を与えて)、自分の心の中の辛さを今すぐ消そうとする。ちょっとの間でも感じるのが耐え難いから、衝動的な暴力に向かう。一旦暴力として苦しみを発散してしまうとあとはケロッとしている。