私に言わせれば、感情は誰にでも当然あるわけです。そして人間にとって無くてはならないものですね、当然。
あと、感情は理屈の前からあるので、「出モノ腫れモノ」の類で、勝手に出てくるもので、基本的にはそれは意志の力で変えることはできません。
自分自身の感情でさえ、本人でも勝手に変えたり、無くしたり、または無いものをあるようにするとか、“絶対に“無理なんです。
ましてや本人以外の人間が、誰かの感情を、例えば本人を思って「明るくさせてあげたい」という善意からでも、または自分勝手な願望から「(私への)感謝の気持ちを持たせたい」とか思って、あれこれ策略しても、当然、無理です。
で、じゃあ、たとえば心理療法などで、何ができるかと言えば、私に言わせればですが、出来ることは「(その人が)自らの感情をそのままに生き生きと感じられるようになること」くらいなんです。感情にはいわゆる“ネガティヴな“感情もありますし、“ポジティヴな“感情もありますが、その両方ともその人にとっては大事な感情なので、どっちも恐れたり忌避したりせずに、自然に感じられるようになると、その人は、その感じた感情を自分の中でじっくり味わった上で、理性と相談して行動(発言も含む)を決めることが出来ます。
…つまり感情に振り回され難くなるということです。
自分の感情を変えて貰うことを期待して、心理療法を受けにくる人は結構いますけど、「そんな初めて会った見も知らぬ人に、自分の感情を変えられたら怖いと思わないのかなぁ」と、私はいつも思います。
そんなの、嫌ですよねぇ。