こういうタイプの小説を読むたびに、数年前の横溝正史ミステリ&ホラー大賞の選評で辻村深月さんが「近年、田舎を田舎というだけで何が起こっても許される装置として乱暴に描いてしまう応募作が多い」と書いていたのを思い出す。
澤村伊智さんも以前から「土俗的な風習を持つ人々を異物として描かない」と意識していることや、「異文化を恐怖の対象として扱う作品を無邪気に楽しんではいられないという意識」について語っていたし、田舎や異文化を「ホラー」的に面白がる態度について読者に冷や水を浴びせる『予言の島』のような作品もあるし。
ホラー小説は、こういう問題意識が大前提になっていてほしい。