新装版が出たのを機に初めて読んだミネット・ウォルターズ、1993年の作品『女彫刻家』。
少し引っかかる部分もあるものの面白く読んだのだけど、解説の評論家がウォルターズ作品を「女臭い」と評し、ひたすら嫌味と当て擦りで論を展開させるのが不快すぎて、読後感がめちゃくちゃ悪くなってしまった……。
作家について「女性差別用語を総動員して世の顰蹙をかっても(中略)なお忌避したい嫌悪の対象」とかそんなこと書く必要ある?
この人によると「早い話が4Fミステリなんである」とのことだが、本作が女性作家と女性翻訳家による女性読者のための女性探偵物語などと言うのなら、いっそ解説も女性に譲って「5F」にすれば良かったのでは??
作者/作品とジェンダーを雑に絡めること自体がダメだけど、でも嫌味を返したくもなるわ。
この解説は2000年に文庫化された当時のものを再録しているのだと思うけども、今これを新装版に載せるのならその旨(初出日)を明記すべきだったでしょ。私は最初、普通に今書かれた書評だと思って超ドン引きした。
というかそもそも再録しないほうが良かった……。
小説の解説、その作品を褒めちぎれなどとは全く思わないけれど、解説者自身の偏見が発露しているような内容は本当〜に嫌だ。
創元推理は『修道女フィデルマ』シリーズでも、主人公フィデルマの性別や性格や職業や属性について嫌味ったらしいことを書く解説者がちょくちょくいる(多くは作家)ので毎回キレている。
この物語を読んでおいてそれか?と。フィデルマが男性だったなら同じこと言いましたかね??
編集者も解説を頼む人をもっと考えてほしい……
そういう解説を書いてる作家の本は私はもう二度と買いませんと思っちゃう。
自作への評価ではなく他人の本の解説をキッカケに読者が離れるのって割に合わなさすぎると思うのだが、人気作家にとってはなんてことないのかな。