『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』と『ロスト・レオナルド』を続けて鑑賞。
史上最高額で落札された「サルバトール・ムンディ」を巡るドキュメンタリー。補完し合う内容で2作とも面白かった。
真作か否かの論争や疑惑は置き去りに、過熱するマネーゲームの果てに国同士の外交問題、作られた熱狂に乗っかる大衆…。
ダ・ヴィンチ展に際しルーヴル美術館による鑑定では真作とされなかったが、フランスがサウジアラビアとの外交を優先していたら、サウジの要求をのんで真実を捻じ曲げ真作と結論づけた(その場合用に制作済みだった図録はお蔵入りしたがが、流出した)ということ…?
『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』ではフランスが「国とルーヴルの信頼性を守る道を選んだ、(ロンドンの) ナショナル・ギャラリーは軽率だったね!」と言いつつ暗部も隠しきれていなくてエグいし、『ロスト・レオナルド』では真作であると信念を持つ修復士ダイアン・モデスティーニに迫る撮り方がエグかった。
『ダ・ヴィンチは誰に微笑む』
『ロスト・レオナルド』
ロシアから国外脱出した新興財閥(オリガルヒ)が買い手に名乗り出て、その代理人はジュネーブでアートを金融資産として保管する大倉庫「フリーポートの王」。
彼が売買契約時にオリガルヒから5千万ドルをちょろまかす事件などは、ミステリ小説やドラマで見ることそのままが現実で起きていてビックリした。
クリスティーズによる、エモーショナルさを最大に利用して大衆に訴えかける(ディカプリオまで使った)あざといプロモーション戦略の大成功は、改めて見るとグロテスクだなあ…。