進化生物学の知見、すべてが眉唾ではないが、根本の前提が「科学もどきのナラティヴ」であるために、各処に混乱を引き起こしている。
例えば、高学歴理系、特に医学部の学生(大学は問わない)などは「進化生物学」の内容をよく知らない内から「生物の目的は自己の遺伝子のコピー」と「自然淘汰説」を結び付け、自らを「進化の過程の勝者」と思い込む傾向あり。ここから「俺はDNAが優れているから医学部に入り、DNAを複製する価値のある男」と横滑りしていくから手に負えない。
こうした連中はダーウィンの理論には「強者生存」の含意はゼロであることも知らないし、DNAと思考能力の間には何の関係もないことも「知らない」。
いわんや受験などは基本、親の経済力、幼年期の「勉強」への動機付けでほぼ決まる、ということも知らないし、まず「知りたくない」。
こうした偏見を是正するために本来「リベラルアーツ」があるのだが、ここ数十年の教養教育はと言えば荒廃の一途を辿る。第二外国語を削って、代わりに「ポートフォリオ」などを科目にしているだから、それも当然だが。
しかし、医学部の学生、要領だけはよく、「カンニング」率も断トツの所も多い、というから困ったものだ。
そういう話を聞くと、若い「医者」に世話になるのはどうも不安になる。