「ローマ劫略 Sacco di Roma」は、1527年です。
すでにポスト・ミケランジェロ・ラファエロとして始動していた「マニエリスム」(cfポントルモ「十字架降下」)は、この事件によって決定的な流れとなります。
ミケランジェロ、ラファエロにあって、ルネサンスの過程でほぼ完成された「技法」と古典主義的均衡は崩れ去ります。
ジュリオ・ロマーノの「巨人族の没落」は、まさにそのことを象徴する大作です。
ここでは、ラファエロまでに開発された技法が、「世界の終末」の「ダイナミックさ」を表現するために惜しみなく動員されます。
こうした「崩壊感覚」を表現するマニエリスムが美術史的に再評価されるようになったのは、「世界の終末」が現実的可能性を帯び始めたWWII以後になってからでした。