#浪曲
【木村勝千代独演会】2023年11月18日(土)14:00~15:40
勝千代「鉢かつぎ姫」
トーク 勝千代&杉江松恋
~仲入り~
勝千代「武田信玄」(芝清之作)
今日来なかった人は損したよね、と終わりに勝千代さんがおっしゃっていたけど、まったくその通り。二席目の「武田信玄」はほんとに、ほんとに、勝千代&美舟コンビがほんとにすごかった。聴けてよかったー。
勝千代「鉢かつぎ姫」
御伽草子の物語から勝千代さんが浪曲化した一席。じつはわたしはまったくあらすじを知らなかった(恥)のだけれど、コメディタッチも加えて楽しい一席に。でも、鉢かつぎが一度死のうとして死にきれず、風呂焚きに身を落として、白魚のようだった指が働く女の指になっても、「生きていればこそ花が咲く」と歌い上げて前を向くところは涙腺決壊した。節が本当に細やかで美しくて。でもって、あの声量。圧倒的な力強さ。
トークの最中、勝千代さんの大ファンのおじいさんが(たぶん耳が悪くてトークの内容が聞こえなかったせいもあるかと思うのだが)、トーク無視して質問したり、賛辞を連ねたり勝千代愛を披歴したり、はてはご祝儀まで手渡ししたのは微笑ましかった。
勝千代「武田信玄」
武田信玄が元服して初陣で手柄を立てるも、そのせいで父から疎まれ確執が生まれ、のちに父を追放して当主となり、上杉謙信との川中島の戦いのさなかまでを描いたもの。勝千代というのが信玄の幼名だったとは知らなかった(山梨出身なので師匠が勝千代と名づけたのだそう)。もうもう、三味線との呼吸のぴったりさがものすごいレベルだった。まず、信玄が初陣のときに奇襲をして敵の党首を斬るときの三味線の音。鳥肌立った。あんな音出るんだ。それから川中島の戦いに入ってからは、人と三味線がぴたーっと完全に一体化して、テンポがどんどん速くなっていく。その迫力と臨場感と緊迫感とドライブ感の凄まじさ。かっこよかったなー。今まで見たことのない勝千代師匠の一面が見られて本当によかった。