#落語
(つづき)
「浮世床」
始まってびっくりした。さん喬師匠の浮世床なんて、聴いた記憶がない。終わったあとの話によると、数十年ぶりにかけたらしい。「お客様の中にも、さん喬の浮世床は聴いたことがないとお思いの方がいるのでは」。まさしく。……と思ったけれど念のためにさっき記録を調べたら、なんと一度だけ2012年に三鷹で聴いていた。記憶は当てにならないなあ。ともあれ、軽妙で、可愛らしくて、とても楽しかった。
「百年目」
以前はあまり好きな噺ではなかった。どうも最後の旦那の話が説教じみているように思えて。でも今回はすごく心に沁みた。最後のところも、栴檀と南円草云々がどうのというのじゃない。あの幼くて色が真っ黒で、算術もろくにできず、おねしょが止まらず、お灸が熱い熱いと言って泣いていた、あの少年がこんなに立派になったという、お店の旦那としての嬉しい親心を吐露する場面なのだと、ひしひしと感じられて、涙がやたら出た。あとはまあ、自分も番頭を目指さねばならないのだろうな、ということも。同じように、「あんなに遊んで、どれだけぞんざいな仕事をしているかと思えば、穴ひとつない」と言われるようになりたい、というより言われなければいけないのだろうけど、さてどうだろうかね。