『プリーモ・レーヴィは語る 言葉・記憶・希望』
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 “レーヴィは「三千年の歴史」を持ち出しているが、一九世紀に誕生したシオニズムはこの歴史とはむしろ相容れないものである。レーヴィが「寛容」としているものをボヤーリン兄弟はあえて「女々しい」としている。ディアスポラのユダヤ人は「寛容」、あるいは「女々しさ」によって生き延びてきた。シオニズムはこれを批判し、「男らしさ」を誇り、達成すべきものだと考える。「ホロコースト」さえも、「女々しく」逃げ回っているから起こったのであって「男らしく」闘うべきであったとし、イスラエルの軍事国家化の正当化に利用する。”

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 “このような「男らしさ」は帝国主義、植民地主義とも結びつくものであり、シオニズムとは詰まるところ植民地主義の一形態に過ぎない。現在のパレスチナ問題の起源は「三千年の歴史」などではなく、一九世紀後半にシオニストがヨーロッパからの入植を開始し、先住のアラブ人の土地を奪ったことに端を発している。イスラエル国家のやっていることは中南米やアフリカ、アジア、そして中東で見られたような典型的な植民地政策である。”

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 “戦後に技術部門の幹部として工場で働くようになったレーヴィはドイツの会社とも仕事をし、商用でドイツをしばしば訪問していたが、著名な作家となり強制収容所体験が明らかとなるとドイツ人との関係はうまくいかなくなっていったという。インタビューでは述べてはいないが、このような事態が他ならぬイスラエルでも進行しているというのを感じ取っていたのかもしれない。”

 “このドイツのエスタブリッシュメントが現在では異様なまでのイスラエル支持を打ち出しイスラエル政府批判やシオニズム批判を反ユダヤ主義だとして取締るようになったのは、「ホロコーストの反省」とは別の原理が働いているのではないかと疑わざるを得ない。”

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