『賢人と奴隷とバカ』その3
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“これも誤解されがちだが、かつては少なからぬ左翼は人権や三権分立といった立憲主義的ブレーキ装置に警戒心を持っていた。確かに、とりわけ中南米において極端に表れているが、アメリカ合衆国による左翼潰しはしばしば人権や三権分立といった「民主主義的価値」の擁護を口実として行われてきた。

官僚、警察・検察、裁判官、そして主要メディアが保守派に牛耳られ、富裕層と癒着し、社会を支配するごく一部の特権階級の利害が最優先されるのが構造的に固定化している国で、左翼が選挙で権力を握ったとして何ができるだろうか。この障壁を越え「人民」の意志を実現しようとすれば、法の支配の否定だ、私有財産の侵害は人権侵害だとして、アメリカに後押しされたクーデターすら正当化される。”

『賢人と奴隷とバカ』その3
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「アナーキズムの精神というのは、たえず民主主義的な、社会主義的な政府を維持するために必要だと思います。なぜなら、相談してつくった政府でも、政府はみな独善的になっていく。人民の意志に反し、人民の利益に反することをするようになります」。

「アナーキズムは個人主義ですからスターリニズムにはなりません。スターリンの場合、社会主義国家を守り発展させようという<組織>が問題でしょう。そのために個人がどうなるかといえば、ちょっと待ってくれ、先になればいつかいい日がくるだろう、いまは我慢しなさい、です。その「いま」はいつまで続くかという問題。「歌う明日Le lendemain qui chante」の明日はいつ来るのか。アナーキズムは、「歌う明日」が来るだろうではなくて、今日歌わなければだめだということです」。

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