[前略]“ここで重要なことは「解釈労働」そのものを、知識人がやってみせることにあります。天皇制のはたらきの核心のひとつである「解釈労働」を通したヒエラルキーの構築と強化を、知識人がみずからおこなってみせることです。そしてそれを通してみなければならないのは、天皇の「お気持ち」をいつも考え、ときに熱狂するといったある種の「愚かさ」のイメージを大衆に押しつけるのはまちがっているということです。それを率先しておこなっている、しかもそれに知的正当性を与えているのは知識人なのです。”
#読書
09.自発的隷従論を再考する
https://www.akishobo.com/book/detail.html?id=1107&ct=8
“こうした天皇をめぐる「解釈労働」を通して、知識人たちの天皇や皇室への感情は、崇敬、というかほとんど愛ともみまがうばかりの感情に転化している事態は、しばしばみられます。「解釈労働」は、支配する相手の側の心をつかもうとする努力です。相手は、じぶんのことなど眼中になくても、こちらはその主人のことをいつも考えています。これは、感情や欲望がつねに当の対象に備給しているということでもあります。ここからこの関係のうちには、支配されているにもかかわらず、しばしばそこにストレートな暴力やいじめのような要素があるとしても、支配される側から支配する側への愛情のようなものが生まれてくるひとつの源泉があります。”
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09.自発的隷従論を再考する
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