Yo La Tengoの新譜が素晴らしい。タイトルが『This Stupid World』なのも最高。

人生で一番聴いたアルバムは間違いなく小沢健二『LIFE』で、そうすると一番聴いた曲は一曲目の「愛し愛されて生きるのさ」ということになる(未だにカラオケで歌うし語りパートもちゃんとやる)。しかし“ふてくされてばかりの 10代をすぎ分別もついて歳をとり”というくだりに実はずっと疑問を抱いてもいる。This Stupid Worldで歳をとって分別がつくことはいいことなんだろうか。

もちろんThis Stupid Worldであえて「愛し愛されて生きるのさ」と言い切るところに小沢健二の凄味があったし、あとのパートでは“10年前の僕らは胸をいためて「いとしのエリー」なんて聴いてたふぞろいな心はまだいまでも僕らをやるせなく悩ませるのさ”と歌うわけでそんな単純な話でもないんだけど。

とはいえ歳をとり信じがたいほどの本物の悪や絶望が存在していることを知れば知るほど分別がよきものという価値観は受け入れ難くなっていく。や、ラブソングでそこまで言われても…と言われたらそれはそうなのですが…。

music.apple.com/jp/album/sinat

『LIFE』期の小沢健二をどう捉えるかはJ-POP的なファンタジーの射程をどう考えるかにつながってくる話ですよね。やっぱり80年代からJ-POPに引き継がれた恋愛幻想をあえて引き受けた側面は強いわけですから。

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小田島久恵 は『LIFE』のレビューで、恋愛の高揚感が全てを解決してしまうのは幻想ではないのか?みたいなことをThe Cure(!)を引き合いに出して批判的にレビューしてたような気がします。当時の『JAPAN』はそういった批判的なレビューが許されてたんですねー。

90年代前半期というとあのタナソーも在籍してた時期ですし、割と納得する話ではありますね。J-POPの恋愛幻想と小沢健二みたいなテーマは自分の中でもう一度練り上げたい感じはあります。

そうそう、『LIFE』のレビューは合評だったのですが、増井修、タナソー、小田島久恵という並びでした。増井修は小沢のヴォーカルも含めて絶賛、タナソーは多少皮肉っぽいトーンはありながらもやはり高く評価、そして小田島久恵は批判的というかなりバランスのいいレビューページだったと思います。
小沢健二という切り口でもJ-POPの恋愛幻想というのはあまりにでかいテーマだと思うので扱うとしたらめちゃ大変だと思いますが楽しみですね。

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