林先生は、橋迫瑞穂さん、塚田穂高さん、山口智美さんたちの論考を引いて、「生き甲斐」を与えてしまう宗教の在り方を説いている。
私見だが、日本の新宗教は女性に「布教者」というやりがいをずっと提供してきたと思う(天理教や金光教などから)。また、それはある種の解放であったのも確か(戦前の「愛国婦人会」などにも通じると思う。家庭の外で、自分が肯定されるというのは大きい)。近代の都市化における新宗教の拡がりも女性の果たした役割は大きいし、例えば平塚らいてうの参禅なども、根っこは繋がっていると僕は思う。
あと林先生も指摘しているが、新宗教の教えには「妻は夫を立てて」というような保守的なジェンダー意識を強調するものも多い。「あなたの心がけが悪いから、旦那さんも」云々といった「心直し」の伝統は多くの教団で分け持たれている。信仰のために家族をも捨てろ、なんてことはほとんど言わない。一部のカルトだって、「今の不幸はご先祖の祟り」とかいわれて、家族を思うがゆえに信仰して、そのせいで家族が壊れるときもあるんだよね、残念ながら。