2018-03-01 司馬遼太郎賞の奥山編集委員 受賞スピーチ
corporate.potaufeu.asahi.com/c
"…アメリカには記録が残っているのに、日本には記録が残っていない、ということがたくさんあります。こんなことで対等にアメリカと渡り合えるのだろうか、と私は心配です。逆に言えば、アメリカは、こうした記録を持つことで、その外交に正統性と継続性、一貫性をもたせることができているのだろうと思います。

 こうしたアメリカ側の記録の中には、たとえば、自民党幹事長だった中曽根康弘さんからロッキード事件について「もみ消し」の依頼があったという詳細な公電があります。42年前の2月19日朝、中曽根さんはアメリカ政府への伝達を大使館に依頼しました。「もみ消す」という言葉がローマ字で「MOMIKESU」と書いてあります。当時の中曽根さんからすれば、万一、これを日本の有権者に暴露されれば、政治生命が危うかったことでしょう。そうした弱みをアメリカ政府に見せている、アメリカ政府に甘えている、と言って過言ではないと私は思います。…"

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2018-03-01 司馬遼太郎賞の奥山編集委員 受賞スピーチ
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"…アメリカ政府としては、そうした記録を持つことで、日本政府の枢要なポストにいる人の弱み――中曽根さんはその後、総理大臣になりましたが――、そういう人の弱みを握り続けることができます。そうした記録はアメリカの外交にある種の凄みを与えている。こうした記録を作成し、保存し、25年、30年、そういう時期が来たら公開する、そういう営みが、アメリカのスマートパワーの源泉の一つになっている。私はそう思います。

 それに引き換え、日本はどうなのだろうか、と私は考え込まざるを得ません。記録をそもそも作成しない。記録や資料があっても、それらをすぐに捨てたり、個人の私物扱いにして散逸させたり。そのときの担当の官僚の短期的・私的な都合に合わせて記録を歪めたり捨てたりする。記録が保管されていたとしても、それの利用があまり考慮されていない。なかなか公開しない。…"

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