2018-03-01 司馬遼太郎賞の奥山編集委員 受賞スピーチ
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"…アメリカ政府としては、そうした記録を持つことで、日本政府の枢要なポストにいる人の弱み――中曽根さんはその後、総理大臣になりましたが――、そういう人の弱みを握り続けることができます。そうした記録はアメリカの外交にある種の凄みを与えている。こうした記録を作成し、保存し、25年、30年、そういう時期が来たら公開する、そういう営みが、アメリカのスマートパワーの源泉の一つになっている。私はそう思います。
それに引き換え、日本はどうなのだろうか、と私は考え込まざるを得ません。記録をそもそも作成しない。記録や資料があっても、それらをすぐに捨てたり、個人の私物扱いにして散逸させたり。そのときの担当の官僚の短期的・私的な都合に合わせて記録を歪めたり捨てたりする。記録が保管されていたとしても、それの利用があまり考慮されていない。なかなか公開しない。…"