先日持ち場を越境し夕刻から当地県庁所在地での仕事のあと、近くだからゆかねばなるまいと寄った古書店で、タイポスを作った一人の故・桑山弥三郎著「レタリングデザイン」(1969)を発見し即購入しました。
40年前に学校の図書室にあったこの本、お目当ては大判の頁にずらりと並んだ朝日新聞社の8倍明朝と8倍ゴシックで、学校新聞の見出し用にひと文字ずつ探しては熱心にトレースしまくっていた青春の思い出。ワープロ普及前、欲しい活字を得ることは本当に大変でしたね。
いま見返すと、当時の一般的なレタリング指南書と違って「タイボグラフィー」に大きく重心を置いた内容で、私の紙時代の仕事にも、少なからずこの影響が現れていたのかと改めて認識したしだいです。
いまはいずれも遠い昔の話になってしまいましたが。
ちなみに「倍」は新聞組版独特の単位の一つで、2.794mm(11/100インチ)。一般印刷の活字でいう新六号(およそ7.8ポ)に相当します。戦後昭和50年代まで全国紙地方紙問わず全社標準だった1段15字詰め時代の本文活字1文字の横幅にあたり、もう一つの新聞独特の単位「U」でいえば10Uとなります。
新聞が15字詰めだった時代も恐ろしいほど昔の話になってしまい、写植→DTP化も相まって、いまはもう各社てんでばらばら思い思いの大きさと扁平率になってしまいましたが、見出し用の文字の大きさなどはいまも倍で呼んでいます(...いるはず)。