そして、そこからの吉本隆明、糸井重里批判への接続。もう本当にだいすきすぎる。
吉本はこの失敗を経て、80年代には今度は「消費」を通じて「個人」が自立することを提案する。
つまり「好きなものを自己責任で買う」ことが共同体や国家から「自立」した主体をつくる、というわけだ。これはまだ、「消費」が真新しかった当時だからこそ機能した戦略で、「消費」が当たり前になった現代ではその威力は発揮されない。それどころか「モノ」消費にこだわっている人はちょっとイタい人くらいに思われる。
しかしここをアップデートしてまだまだいけると考えたのが糸井重里だ。吉本思想の実践者である糸井は、モノではなくコト、つまり商品ではなく商品に付随する「いい話」の力でモノを売るのだ。そして「暮らし」を楽しむと「中くらい」の「ゴキゲン」が手に入る……それが「ほぼ日」だ。(上記引用)