ジェンダー問題の関連で、デモや署名などの活動が盛んになると、やりすぎはよくない 的な良識者めいた諌める文言が優位になるのも、日本あるあるだなぁ、と思います。

背景には、過去、警察や司法の場で性犯罪に対してきわめて寛容であり、被害者の過失ばかりが問われてきたというつい最近までの流れによる司法への強い不信感があると思います。

また、緊急避妊薬の承認プロセスなどに見られるように、現在進行形で公的な手続きの場でも女性の権利は軽んじられたままというなかで、公的手続きにおける女性の権利が適正に扱われているとは考えられない、という不信感もあると思います。

不当と思う裁判官への署名運動程度、たいしたことではないと思うのですが、判決全文を精査してから判断しろといった、普段の言動からは大きく異なる慎重さや思慮深さを署名程度に要求するなど、まるで社会を揺るがすおおごとのような扱いになることじたいに違和感があります。

(私自身は署名はしていないです。今回に限らず、毎回のことですが、署名一つにも自分自身はいつもやりすぎなくらいに慎重に判断するので、ほとんどの場合署名活動には協力しないことになります。ただ、それを他人に要求はしませんし、必要とも思っていないです。)

たかだかオンライン署名程度、それで世の中が変わったことなんてほとんどないですし、ほかのパターンでも炎上気味に広がるオンライン署名は多々あるのに、そこまで慎重さを求めることからは、「思慮の足りない女」を教化してやらねばならぬ、といういつものパターナリズムを強く感じるところです。

教化されるべき、思慮の足りない女たちが、社会的な権威や地位のある男性に歯向かい、ましてやその地位や評判に傷をつけるなど断じてゆるさるべきではない、というアンコンシャス・バイアスは極めて強いので、それに基づく反発であろうと思います。

それによって男性個人がダメージを被ることは許されてはならないことなのですよね。

オープンレターの一件も、いつまでもしつこく言われるのは、この根深いアンコンシャス・バイアスが原因であろうとも思います。

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アメリカでトランプが再選し、Xのイーロン・マスクが影響力を強めているところから、アンチフェミニズムの流れは、今後しばらくアメリカとX発で強まることになるのだろうと思いますが、オンライン上の風潮に流されず、自分の判断できる礎を持っているかどうかが問われるところだろうと思います。

(人類はそんなに思慮深くも立派でもないので、みんなでそうしましょう、というつもりもないですが、自分自身の心構えとして。)

いずれにしても、日本社会自体がもう沈みはじめている泥舟ですし、しかも、検察や政治の中枢の不祥事に体現されているように、社会機構の中枢部から腐っているのが実態と言っても言い過ぎではないと思います。

そのような社会において、現状の社会システムに対して「思慮深く」ふるまうことじたい、必ずしも思慮深いとも言えません。

時間が経過して振り返った時には、おそらく評価は逆転するのではないでしょうか。

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