ベネデッタ、すんごい面白い映画だった。 奇跡を起こす修道女が主役で、別の修道女と体の関係を持つ…というストーリーで、狂気と信仰の境が曖昧だし、信仰と肉欲、信仰と恋愛の境も曖昧。 それでいて娯楽映画!
宗教改革者ルターは旧約聖書の雅歌(恋愛詩)について、神への愛を熱烈に書いたものだという解釈をした。
ベネデッタのキリスト幻視はまさにそんな感じ。
騎士道精神のようなロマンチックなキリストが現れてベネデッタを救う。
それでいて、この幻視自体、あまりに都合良すぎるしエロチシズムがあって、修道女の欲求不満の現れなんじゃないか…?と思わせる。
(ところでキリストの花嫁という言い方って、ルター雅歌解釈以前とか、カトリックでもあった言い方? カトリックは詳しくないから分からない…)
キリスト幻視同様、ベネデッタの奇跡についても、最後まで、本当に奇跡なのか分からない。
少なくともベネデッタは奇跡だと信じてるけど、それが狂気によるものなのか、観客にも作中の周りにも判断つかない。
ベネデッタが異言が行う様子が描かれるけど、ああいう状態の人って、実際にいたらメンタルおかしいのかな…ってなるし、そういう感じに描かれてるように思える。
ベネデッタ 感想
そういう異常さをそのまま異常なものとして描いてるのが良いし、かつ、ベネデッタの(気が狂ったように見える)信仰を否定しないところが良い。
現代に描かれた作品だと、「昔は、こんな狂った信仰だったんです、怖いですね、宗教を否定しよう」or「信仰って良いね、宗教は大切」という2タイプの描かれ方が多いと思う。
この作品は最後まで突き抜けてるのがすごい。
性欲もオナニーもセックスも同性愛も、神の愛に含まれるし、些末なことなのだ。
ベネデッタにとっては!
でも当然、周りはついていけない。
ついていけるかぁ!😂
突き抜け方が大変心地良い映画でした。
それでいて娯楽作品。
観て楽しい。
ここ数年観たレズビアンセックス描写のうちで、一番好きだと思った。
他の映画ではぎこちなくて、どうセックスしていいか分からないような、そんなに気持ち良くないよね、それより精神的な結びつき…みたいな印象受けてた。
ベネデッタは、そんなの関係ないね!好きな人と触れ合ったら楽しいし気持ち良いだろうが!って感じだった😂
この見やすさは、私が「氷の微笑」でシャロン・ストーンのエロさにやられたティーンのガールだったためなのか判断つかない😂
何にしても楽しかった。
というわけでものすごく面白かったんだけど、さらに下品になってないのがすごいと思う。
ナンセンスに傾きかけてるけど、あくまでものすごく真面目に撮られてる。
美しさもエロティシズムも作中の展開の邪魔をしない。
年間ベストかもしれない!
面白かった~。