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『アリスとテレスのまぼろし工場』を見た。
要素がバラバラでギリギリでまとまっていないような。とりあえず、最後まで見ても、タイトルの意味は分かりません。主題歌も浮いてる。

製鉄所の爆発で、空間と時間が閉じた地方都市が舞台。思春期の鬱屈と地方の鬱屈をシンクロさせようとした形跡はある。
思春期の鬱屈はよく描けているのですが、地方の鬱屈があんまり芯を食ってないかなあ。思春期の鬱屈のほうも、描写に毒気があり過ぎて、それが邪魔になっているような。

で、舞台は製鉄所の企業城下町なのですが、これがね、全然全然描けてないんですよ!
企業城下町といえば、親の職場が軒並み親会社やその関連企業または取引先企業といった独特のヒエラルキーや閉塞感があるわけですが、その要素は皆無。また、地元住民と新住民の軋轢といったものもあるのですが、その要素も皆無。
大きな工場が一つ来ると、その地方は驚くぐらい発展して、その工場が去ると驚くぐらい衰退するのですが、それもほとんど描けていない(描こうとしていた形跡はある)。

停滞と変化、現代と未来、非現実と現実といった対比の要素として、冬と夏で、夏の盆祭りが重要な要素となっているのですが、製鉄所のある街の祭りが、夏の盆祭り?分かってねえな、そこは企業祭だろうが。せっかくの製鉄所なのに?企業祭じゃないの?
ぶいぶい言ってた頃の企業祭はですね、花火を上げるだけではなく、工場見学は勿論のこと、有名歌手やヒーローショーを呼んでたりしてたんですよ!

というわけで、設定の旨味がほとんどないな、と思いながら見てました。
あ、時代設定は1991年なのですが、家具とかは80年代末〜90年代初頭感があってとても良かったのですが、髪型が全く90年代初頭ではなく、話の内容的にも90年代の鬱屈感が全くなくて、女子のブルマが描きたかっただけかよ、と。

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