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o3 low(tuned)がARC-AGIをあんなに解けるのは、計算量でカバーしてるだけでは説明できないので、人間と異なる異質な汎用知能なのでは、という考察。

しかしこれには異を唱えたいな。提示された情報を紐解けば、やっぱり計算量でカバーしてるだけだと推測できるので。

o3 low(tuned)が高得点を得た理由は、以下のように推測できる。

・oシリーズは、長大なChain of Thoughtによる推論を行うようにファインチューニングされたLLMである。つまり、「自然言語により、仮説を立ててその仮説の正しさについて自ら検証を行う、という処理を多数回試行することにより、正答出力の確率を高める」というタスクをこなすことができる。試行回数を増やせば増やすほど、正答の確率が上げられるので、正答率≒AIとしての能力は、推論時間≒計算量≒計算コストをかけるほど上がる。(ちなみに線形に増加するわけではない)

・o3(tuned)は、ARC-AGIの公開問題の75%を使ってファインチューニングしている。どのようにファインチューニングしたのかは非公開ではあるが、ARC-AGIのCoTでの解き方を学習させたと推測できる。

・o3 low(tuned)は、ARC-AGI semi private 100問で75.7%の正答率を達成するために、約2時間、$2000(約30万円)もかけている。

ちなみに、o3 high(tuned)の計算コストは非公開だが、o3 low(tuned)の172倍の計算量を投入しているので、単純計算で100問解くのに5000万円くらいかかっている。それでも正答率は87.5%止まり。
計算量はlowの172倍なのに、実計算時間は10倍の23時間に留まっているが、これは並列実行したことによる時短だと思われる。というか、24時間以内でタスクが完了するように逆算して、計算リソースを割り当てたと予想される。

次に、ARC-AGI semi private 100問で75.7%や87.5%という正答率は本当に凄いのか?という点についても再考が必要。

実際やればわかるけど、ARC-AGIの問題は難しくない。難しめの問題でも、落ち着いて考えれば5分もあれば分かる。一般的なIQテストとは全然違う。平均的な(それこそIQ=100程度の)人間が、ちゃんと時間を与えられて、真面目にやれば、ほぼ100%正答できる問題だと思う。

ARC Prizeの言う、平均的な人間の正答率が73.3~77.2%程度というのは、あくまで、Amazon Mechanical Turkのクラウドワーカーに、1問5ドルで委託した場合の平均正答率でしかない。5ドルぽっちの報酬で、しかも間違えても別に罰則はないようなタスク、誰もが真面目に全力でやりますかね、という。

Chain of Thoughtの鎖を死ぬほど延ばしたら性能が上がる、というのは、無限の猿定理と同等の主張だと私は思ってる。

低確率で正答できる問題を、いっぱい試したら、そのうち正答できた、というのは「思考」と言えるのか。また、それを思考だと受け入れるとしても、実用性はあるのか。計算資源は有限なので。

何より、多くの人が指摘している通り、oシリーズの手法では、回答の正しさをモデル自らが評価可能な問題しか正答を与えることができない。
たとえば数学問題とか、ARC-AGIのようなパズル問題とか。

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o3の発表が色々示唆に富むものであったのは確か。

推論時間スケーリング則、実用域の上限に早くも到達したな、とか。

CoTモデルにそこまで強い汎化性能は無く、問題種別ごとにチューニングしないと性能出ないんだな、とか。(たとえばARC-AGIをCoTするモデルは、ARC-AGIの解き方を学習する必要がある)

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